不動産業界におけるVR活用と一言でいっても、各会社によって業務内容や客層が異なる中、具体的にどのような使い方をされているのか、ユースケースを具体的に多く知ることが重要でしょう。今回は接客や営業など、リアルな場で直接顧客とやり取りする場合におけるVR活用方法について具体的な事例を交えながら、解説したいと思います。
第2回でお伝えした通り、顧客は無駄な内見は避けたいと考えています。行き帰りの移動はもちろん、暑い夏や、寒い冬に空調の効いていない部屋を見て回るのは負担になります。店頭でVRを活用して物件の絞り込みを行い、確度の高い物件のみ内見できれば、お客様と不動産会社の双方にとってメリットは大きいでしょう。
一方、VR内見によって、実際の内見を完全に代替できるわけではありません。物件の雰囲気、温度や湿度、音、匂いなど、現地に行ってみないと分からないことは多くあります。忙しくて内見の時間が取れない、遠隔地のために現地に行かずに契約するしかないというお客様でなければ、契約前に現地確認や内見を行うことは、ミスマッチを避けるためには重要になります。
居住中物件の場合、VR内見を案内することで、仲介会社にとって競合他社と差別化できます。周辺環境や共用部分の現地確認と合わせれば顧客も契約の決断をしやすくなりますし、契約後のミスマッチ防止にもつながります。また、退去予定物件がVR内見で決めやすくなればオーナーのメリットも大きいため、管理会社としての差別化にもなります。
ファミリー向け物件や売買物件の場合、必ずしも来店した顧客が一人で意思決定できるわけではありません。平日に奥様が来店して情報収集した上で、帰宅後にご主人と相談するというケースも多いでしょう。オフィス賃貸に関しても同様です。
このようにいったん持ち帰って検討が行われる場合、顧客にQRコードを渡す、あるいはURLをメール送付することによって物件のVRコンテンツをお渡しするのは効果的な活用方法です。顧客は、検討物件の天井高の雰囲気や光の入り方、コンセントの位置など、後で気になる細かい部分もVRや360度写真で確認しながら、ご家族や関係者と検討を進めることができます。
顧客と物件のVRコンテンツを共有する上で重要なことは、コンテンツが通常のウェブブラウザで再生可能な形式であることです。スマホアプリで溢れかえっているこのご時世に「物件を見るために専用アプリをダウンロードしてください」というのは、顧客に見てもらえる可能性を大きく下げてしまう可能性が高いでしょう。
日本財託は、顧客からリクエストがあった物件をVRコンテンツで提供する「VR内見代行サービス」を2017年1月から実施しているそうです(参考記事:日本財託がVRを使った内見サービスを開始 3D Styleeを使用しスマホで簡単に体験が可能)。物件の360度写真データの蓄積には地道な撮影作業を伴うため、限られた人的資源を効率的に使う好事例といえるでしょう。
次回は、VR導入によって期待される効果についてお伝えしたいと思います。
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最後までお読みいただいてありがとうございます。
(この記事は全国賃貸住宅新聞2017年6月26日号掲載「そろそろVRはじめませんか」第3回の内容をベースにしています)
不動産業界のVR活用方法については以下の記事をご覧ください。
VR不動産7選!不動産分野におけるVR活用法を事例とともにご紹介!