VRと空間データ活用のヒントが見つかる

VR訓練のメリット・デメリットとは?対策や5つの導入事例も紹介

仮想空間を体験できるVRが、近年企業からも注目されつつあります。

その理由の一つとして、VR訓練のシステムが、日々研究・開発されつつあるからです。

避難訓練から職業訓練、軍事訓練まで、幅広い分野に導入されている事例も多数。

この記事ではVR訓練を導入するメリットやデメリット、事例をご紹介します。

ぜひ最後までお読みください。

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VR訓練を導入するメリット3選

仮想体験

VR訓練の導入メリットを細かく3つに分けて、解説します。

1. コスト削減が可能

節約

VR訓練を導入すれば、訓練にかかるコストを削減できます。

人件費や会場費を抑えられるからです。

指導員や会場の確保に時間を取られることも。

VRを使用せず実地訓練を行うと、指導員の人件費や訓練を実施するための会場費がかかります。

しかし、VR訓練用に一度映像を作ってしまえば、後にかかるコストを減らすことが可能に

VRコンテンツが訓練を提供するので、人件費を抑えられるのです。

しかも、会場はVR用のスペースを確保すれば良いので、面積の縮小もでき、人数制限もありません。

毎年かかるコストを考えれば、VRに初期投資した方が長めに見て、コスト削減に繋がるのです。

2. 訓練内容が偏らないので知識が正確に伝わる

本

VRで訓練をすると、知識が正確に伝わります

全員が同じ内容の研修で学び、実践するからです。

大規模な研修だと、グループに分かれてワークショップを行うため、指導員を複数招くことが必要。

そうすると、やはり指導員によってはどうしても内容に差がでてきてしまうのです。

小さな内容の差から危機管理の認識にもズレが生じてしまい、後の重大事故を招きかねません

研修内容は、全員同じであればあるほど、共通の認識を持てます。

訓練内容が偏らないためにも、VR訓練はとても有効です。

3. リアルな体験で印象に残りやすい

脳

VRで訓練をすると、記憶に残りやすくなります

実際に、その場で体験をしたかのような臨場感を得られるからです。

リアルな体験は人間の記憶にも残りやすいと、2018年アメリカのメリーランド大学の研究でも明らかに。

実験では、パソコン画面での体験とVRでの体験を比較しました。

記憶のテスト結果は、VRの方が全体で8.8%も向上したのです。

防災訓練などでは、ビデオを見る講義が行われるケースも多数。

しかし、人間の記憶ではVRでその場にいたような体験をした方が、はるかに記憶に残りやすいのです。

印象に残っていると、いざという時の行動にも違いが出てくるもの。

VR内で会社の環境や設備をリアルに再現すると、訓練される側の記憶にもより深く刻まれるのです。

VR訓練を導入するデメリット3選と対策

解決

VRを訓練に導入するメリットをここでは解説しました。

次に、デメリットとその対策について詳しく解説します。

1. 初期コストがかかる

お札

VRコンテンツは、作成するための初期費用が少なくとも数十万円ほどかかります。

さらに、独自のVR空間を作ろうと思えば、より予算が増えて100万円を超える場合も。

360度の映像を作るので、導入費はどうしてもかかってしまいます。

しかし、訓練を行うための指導員や大規模な会場を毎年用意することを考えれば、VR訓練の方が、後々コスト削減に繋がりま

最初だけ多めに投資すれば、毎年同じ内容で訓練を実施できるからです。

2年目からは指導員と会場費を抑えられるので、早い段階でコスト削減できる可能性があります。

2. 事例が少ない

デジタルナレッジ

画像引用:デジタル・ナレッジ

VR訓練を導入している企業の例は、まだ多くはありません。

日本初のeラーニングを導入した会社『デジタル・ナレッジ』が2019年、『企業研修におけるVR活用に関する調査報告書』を発表しました。

VR訓練を実際に導入している企業は、9%。

しかし、前回の調査と比べると、なんと9倍に増加しているのです。

さらに「導入をしたい/検討中」と考えている企業も、全体の46%を占めています。

実際に導入している企業と合わせると、半数以上の企業がVR訓練に前向き

大規模な訓練を実施するのが難しいコロナ時代だからこそ、VRを導入する例も増えると予想できます。

後で詳しい導入事例もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

3. VR酔いを起こす可能性がある

頭痛

仮想空間に慣れていない場合、VR酔いを起こす可能性があります。

最悪の場合、酔ってしまうと研修の継続ができないことも。

しかし、VR酔いは対策可能。

長時間VRを使用し続けるのではなく、体験する場面を短くまとめるのです。

訓練において重要なポイントをピックアップして体験するようにすれば、効率的に使用できます。

もし、VR酔いが起これば、即座に申告できる環境を整えておきましょう。

そうすることで、無理に継続し体調不良を起こすトラブルを未然に防げます。

もう一つの対策として、「VR作成の際に業者と、どんな内容にするか」を相談することです。

VR酔いが起こりやすい場面はどんな時なのかなど、気になることはプロに聞いて解決しましょう。

短時間で効率的に体験できるプログラムを編み出せば、VR酔いは減らせます。

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VR防災・避難訓練の事例

非常口

防災訓練にVRを導入している事例をご紹介します。

導入事例1. 地震

地震避難訓練

画像引用:田中電気株式会社

地震の避難訓練をVRで行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • 負傷原因と対策の必要性を体験
  • 地震発生時の身を守る行動を体験
  • 地震の時のリアルな視覚体験

地震は、いつ起こるか誰にも予測できません。

予測できないからこそ、普段から対処の方法を学んでおくことが大切

VRでは地震が起きた時、どのような揺れが視覚的に起こるのかを体験できます。

実際に揺れを感じなくても、視覚で地震を体験するのは、非常に印象に残るもの。

また、地震の負傷の原因はガラスや食器の破片によるものが多いと言われています。

VR内で散乱した食器を見ることで、家具固定や収納対策を考えるきっかけにも繋がります。

さらに、実際に机の下にもぐる体験も可能。

自分の身を守るためには、素早い判断が必要です。

VRで地震訓練をすることで、防災知識が深まります

導入事例2. 土砂災害

土砂避難訓練

画像引用:田中電気株式会社

土砂災害の避難訓練をVRで行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • 土砂災害発生状況の体験
  • 避難のタイミング判断
  • 実際に起こった時の対処法

土砂災害は、現実世界での再現は不可能。

そのため、VRで実際と同じような体験をして記憶に残しておくことが、とても重要です。

今回ご紹介している事例では、西日本豪雨の土砂災害から、避難のタイミングなどを学べます。

避難のタイミングを逃してしまえば、道路が水で溢れてしまい、自宅から動けなくなってしまい犠牲になることも。

どのように対処すれば良いか学んで、いざという時のために役立てましょう。

VR訓練を通して、早め早めの行動意識を根付かせられます

VR職業訓練

会議

職業訓練にVRを導入している事例をご紹介します。

導入事例1. 介護現場

ケアブルHP

画像引用:ケアブル

介護訓練をVRで行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • VR映像で、実際どのように介助するのかを見学
  • 介護職員と利用者の両方の立場を体験
  • 日本式介護、基礎介護技術、コミュニケーションの取り方

介護現場では人材不足が深刻な問題化しており、近年では技能実習生を雇うケースが多く見られます。

そのため、介護スタッフの人材育成が急ピッチで進められているのです。

とはいえ、外国人の技能実習生に対して、日本語だけの座学を行うだけでは不十分。

VR訓練を導入すれば、記憶にも残りやすい授業を実現できます。

VRの介護訓練は、技能実習生だけでなく、介護経験のないスタッフにも有効

人は能動的な体験をすることで技術を身に付け、仕事に活かせるようになります。

VR訓練で介護を疑似体験することで、実際の仕事でスムーズに役割をこなせるようになるのです。

記憶に残りやすいVR体験で、効率良く職業訓練を実施しましょう。

導入事例2. 発達障害支援・うつ病支援

エモウHP-2

画像引用:emou

発達障害や精神障害を持つ人のためのVR訓練を行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • 対人スキル
  • 周りの意見を大切にしながら、自分の意見を伝える練習
  • 自分の考えを発信する練習

emouのVR職業訓練は、うつ病からの復職を目指す人や、放課後等デイサービスの利用者に向けてサービス展開されています。

発達障害やうつ病を発症した人にとって、職場で悩む原因は人間関係にあると言われています。

どれだけ練習をしても、実際その場に行くと緊張で固まってしまうことも少なくありません。

そこで開発されたのが、就職を支援するためのVR訓練です。

ソーシャルスキルを身に付けるためには、空間に入り込んでトレーニングできるVRが、とても効果的。

普段からロールプレイングをしていると、就職してからのギャップも少なくできます

ソーシャルスキルをVRで効果的に身に付けられると、就職への未来が広がります。

VR消防訓練

消防士

消防訓練にVRを導入している事例をご紹介します。

導入事例1. 火災避難訓練

火災訓練

画像引用:田中電気株式会社

火災避難訓練をVRで行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • ホテル火災、工場火災、オフィス火災の3種類の現場での対処法
  • 誘導灯を頼りに避難口まで行く体験
  • 火災時の移動の方法を体験

火災訓練も自然災害と同様に、現場を再現することができません。

そのため、映像を通した講義が基本。

しかし、実際の場を体験していないと、いざというときに対応は難しくなってしまいます。

VR訓練だと、火災現場から避難口まで辿り着く練習ができるので、記憶に残りやすくなるのです。

煙を避けるためにしゃがんで移動する練習も、VR訓練ならよりリアルに体験が可能に。

今回ご紹介したVR訓練は、ホテルや工場、オフィスなど、3つの現場に対応しています。

火災の発生状況はシチュエーションによって異なるので、それぞれの現場に合った訓練を行うと、より効果的。

さらに、今回ご紹介しているプログラムでは、避難行動の判定機能も搭載。

避難にかかった時間や、煙をどれくらい吸ってしまったかなどを判定してくれるのです。

訓練の振り返りに活用することができ、改善点などを明確に理解することができます。

実際に火災が起こってから考えていては、遅すぎる場合がほとんど。

VR訓練で火災体験をすることで、自分や周りの身を守る行動を心がけましょう。

導入事例2. 自衛消防隊のための消火栓訓練

消火栓訓練

画像引用:田中電気株式会社

消火栓訓練をVRで行う時に、学べる内容例は以下の通りです。

  • 初期消火の大切さ
  • 消火栓の使用方法
  • 初期消火の過程の理解

初期消火は、重大な火災事故を防ぐための大切なポイントです。

とはいえ、消火栓を使う機会は中々ありません。

消火器を実際に使った訓練は、消防訓練でもよく見られます。

しかし、全員が体験できるわけではなく、代表者が体験するケースがほとんど。

今回ご紹介するVR訓練では、どのように初期消火をするのかを、実際に体験可能に

VR内で実際に消火栓を扱うと、記憶にも残りやすくなります。

初期消火の大切さを、VRを通して学べる効果的なプログラムです。

VR軍事訓練

VR射撃訓練

画像引用:MarineTimes

アメリカ軍隊で導入しているVR訓練の内容例は、以下の通りです。

  • 射撃訓練
  • 陸軍での訓練
  • 飛行機からの飛び降り訓練

現地の報道メディアによると、アメリカの軍隊でもVRの導入例は数々報道されています。

軍隊は軍事基地内で訓練をしていますが、不測の事態を完全に再現するのは難しいとのこと。

そのため、VR訓練を通して、いざという時のために訓練を行っているのです。

VR訓練を実際に体験した兵士も、非常にリアルだったと回答。

何度もVR訓練を繰り返すことは、有効。

能動的な体験を繰り返すと、自分の実体験としてカウントされ、緊急時でも行動できるようになるからです。

VR作成会社と軍隊がタッグを組んで訓練を開発するケースは、これからどんどん増えてくるはずです。

日本に導入される未来も、そう遠くないでしょう。

VR訓練で、能動的体験を提供しよう

VR体験

VR訓練のメリットやデメリット、導入事例をご紹介しました。

今回ご紹介した例以外にも、活用方法はたくさんあります。

効率良く訓練を行うためにも、VR訓練はとても効果的です。

ぜひこの記事を参考に、検討してみてくださいね。

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