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リコーシータ最新機種 THETA Vの静止画をTHETA SCと比較してみた

リコーシータV

2017年9月15日にリコーシータシリーズの新製品、リコーシータVが発売されました。

動画が4Kになったこと、360°空間音声機能が搭載されたことがフォーカスされていますが、不動産会社など、360°静止画中心のユーザーにとっては静止画のクオリティが気になるところ。

静止画の画素数自体は従来機種のTHETA SやSCと同じ出力画素1400万画素ですが、公式ページには、「アルゴリズムを一新し、低感度から高感度までノイズが少なく解像感の高い高品質な画像が得られます」と書いてあります。

360°静止画ユーザーが買い替える価値はあるのかを検証するため、従来のハイエンド機種であるリコーシータSと静止画のクオリティについて比較してみました。

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1. HDR合成の比較

以下の写真は左がリコーシータV、右がシータSCで、設定はいずれもオート、HDR合成、EV1.0です。

THETA VとTHETA SCのHDR合成の比較

THETA VとTHETA SのHDR合成の比較。左がVで右がSC。Vはたしかにノイズは少なくなっている。色温度のバランスもかなり違う。

従来のHDR合成の弱点の1つであったノイズが見事に少なくなっています。
また、ホワイトバランスに関してはVのHDR合成の方が全体的に色温度が低く、暖かみがある感じですが、色合いに統一感が出ています。逆に、SCのHDR合成は床の茶色が赤っぽくなっている一方で、壁の白が青っぽく、いかにも合成した写真という感じはします。

THETA VとTHETA SのHDR合成の比較

THETA VとTHETA SCのHDR合成の比較。左がVで右がSC。どちらも窓の外の風景が見えている。

上の写真を見ると、いずれも窓の外の風景がきれいに写っていて、HDR合成であることがわかります。

HDR合成の処理スピードも改善

これまでリコーシータSCのHDR合成は撮影後の画像処理に10秒程度時間がかかり、テンポ良く撮影できないのが弱点でした。一方で、THETA VのHDR合成の画像処理スピードはかなり改善されており、ノイズ低減など、他の撮影モードとそれほど変わらず、2秒程度で処理が終わるようになりました。

2. ノイズ低減での比較

次にノイズ低減撮影モードで比較してみました。左がTHETA Vで、右がTHETA SCです。EVはいずれも1.0ですが、Vの方がホワイトバランスがより赤っぽいため、明るく見えます。

RICOH THETA VとTHETA SCのノイズ低減の比較

RICOH THETA VとTHETA SCのノイズ低減の比較。左がVで右がS。やはり色温度が違う。

同じくノイズ低減、EV1.0の設定で窓の方向を比較したのが以下の画像です。
左がV、右がSCですが、Vの方が若干ですが、外の風景の白飛びが抑えられているように見えます。

RICOH THETA VとTHETA SCのノイズ低減の比較

RICOH THETA VとTHETA SCのノイズ低減の比較。左がVで右がS。Vの方が少し白飛びが抑えられているように見える。

以下は、シータVとSCの比較用のSpacelyコンテンツです。


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3. アプリはこれまでと同じTHETA Sアプリ。安定性は改善が必要

3-1. 撮影用のスマホアプリ

iOS版アプリ

撮影のために使うスマホアプリに関しては、これまでと同じTHETA Sのアプリを使用します。
今回の撮影ではiOS10の端末を使用しました。

2017年8月31日のTHETA Sアプリのアップデートで操作する画面の見た目も大きく変わりましたが、このときにTHETA Vの対応も行ったようですが、リコーシータの「さくさく安定して使える」魅力は残念ながら失われてしまい、正直使い勝手は悪くなってしまいました

THETA Vでの撮影時のライブビューはスムーズではなく、タイムラグが頻繁に発生していました。また、撮影の間に何度もフリーズしたり、アプリが落ちてしまうことも。
その度にアプリの再起動を行いましたが、これでは特に初心者ユーザーは戸惑ってしまうかもしれません。

やはり新製品で、新機能を搭載しているので最初は仕方のないことだと思いますが、使い勝手の改善は望まれるところです。

3-2. PC用基本アプリ

PC用アプリ

PC用基本アプリも従来と同じアプリを使用するようです。

撮影の直前に確認したところ、すでに1回ファームウェアのアップデートが行われていました。
やはり新製品ですので、最初のうちは細かなバグ修正などのためのアップデートが頻繁に行われると思われます。

ファームウェアアップデートのことを知らずにリコーシータを使ってきたユーザーも多いかと思いますが、特に最初のうちはファームウェアアップデートがないか、こまめに確認した方が良いでしょう。ファームウェアアップデートのやり方については以下の記事をご参考ください。
初心者必見。RICOH THETAのファームウェアアップデートとは。

4. まとめ

THETA Vの画像

結論としては、かんたんに撮影したいけど、画質にもこだわりたいのであればリコーシータVは「買い」です。

室内も外の風景も同時に見せることができるHDR合成の色合いが自然になったこと、ノイズが少なくなったこと、画像処理時間が短くなったことは大きなメリットです。

これだけHDR合成が改善したのであれば、オートのHDR合成の設定だけで、ほとんどのシチュエーションで対応できそうなので、初心者にとってもより使いやすいカメラになったとも言えるでしょう。

ただ、2018年3月時点で、リコーシータVは5万円弱で、2万円強のリコーシータSCと比較すると倍以上の値段にはなりますので、動画機能が少ないけど、THETA Vと同じクオリティの静止画が撮れる廉価版が出てくると、不動産会社などの静止画中心のユーザーにはうれしいところです。

参考リンク:
VR関連デバイスについての記事一覧
VR関連のデバイスに興味がある方はこちら

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不動産業界のVR活用方法については以下の記事をご覧ください。
VR不動産8選!不動産分野におけるVR活用法を事例とともにご紹介!

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