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IT重説とは?いまさら聞けない!不動産業者が知っておくべき必須情報まとめ

IT重説は2017年10月に解禁されました。2018年7月現在、賃貸取引のみが対象となっています。「IT重説」について詳しく知りたい人向けに、国交省の資料に基づき、徹底的にわかりやすく解説しています。

【目次】
1. IT重説とは
 1-1. IT重説の定義
 1-2. IT重説の経緯と背景
2. IT重説を行うメリット・デメリット
 2-1. IT重説を行うメリット
 2-2. IT重説を行うデメリット
3. IT重説を行うための必須条件
 3-1. 取引種類は賃貸取引に限定
 3-2. 取引業者の種類は宅地建物取引業者のみ
 3-3. 取引できる人は宅地建物取引士のみ
4. IT重説における遵守事項
 双方向でやりとりできるIT環境の整備
 重要事項説明の事前送付
 重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
 宅地建物取引士証の確認
5. IT重説における留意事項
 IT重説実施に関する関係者からの同意
 相手方のIT環境の確認
 説明の相手方が契約当事者本人等であるかの確認
 説明の相手方に対する内覧の実施
 録画・録音への対応
 個人情報保護法に関する対応
6. IT重説の推奨環境

7. IT重説の今後



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1. IT重説とは

そもそも「重説」とは何のことでしょうか。
不動産業界の方なら知っていて当たり前ですが、一般の方はよくわからないと思いますので、以下に詳しく説明しています。不動産業界の方は読み飛ばしてください。


1-1. IT重説の定義

☆重説(じゅうせつ)とは?
概して「契約前」に行われるものが重要事項の説明であり、契約を締結するか否かを判断する為のものです。契約をめぐる紛争のほとんどは「そんなことは聞いてない」という事から発生します。
不動産事業者は「聞いてなかった」ことを原因とする紛争を防止する為に「重要事項説明書」を説明する必要があります。また消費者は「確かに重要事項の説明を聞いた」という意味で消費者は重要事項説明書に記名押印をします。

「重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約・賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。
重説とは|不動産用語を調べる【アットホーム】

簡潔に言うと、重説とは入居に際して重要なことを入居前に説明することです。お互いに契約前に説明をした/説明をされた証拠を残しておくことで、後々のトラブルを防止するためです。賃貸契約をしたことのある方なら、免許を見せられて説明をされたことがあるはずです。そう、アレです!!

「重説」について理解できたところで、元の疑問に戻ります。



☆「IT」重説とは
これは簡単に言うと、ITを活用して重要事項説明を行って良いという仕組みです。
賃貸で部屋を借りる場合に今までですと、必ず対面で重要事項説明を受ける必要がありました。
しかし、IT重説が認められたことによってテレビ電話等のIT媒体による遠隔の説明も可能となりました。国土交通省によると、IT重説は以下のように定義されています。
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・宅建業法第35条に基づき宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のITを活用して行うもの。
・パソコンやテレビ等の端末を利用して、対面と同様に説明・質疑応答が行える双方向性のある環境が必要。
・「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、対面で行う重要事項説明と同様に取り扱うものと規定。

参考:賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル(平成29年9月)

テレビ会議はスカイプやLINE、ハングアウトといったサービスが有名です。
これらは無料で使うことができますし、国外でもネット環境さえあれば簡単に通話することができます。(ビジネス向けは一部例外)
skype

ビデオ会議(英: Videoconferencing)とは、対話型電気通信テクノロジーにより複数の遠隔地を結んで双方向の画像および音声による会議を行うこと。グループウェアの一種でもある。会議向けに設計されているという点で個人向けのテレビ電話とは異なる。テレビ会議あるいはTV会議とも呼ばれる。
ビデオ会議 Wikipedia


1−2. IT重説の経緯と背景

IT重説は便利ですが、いったいどのような経緯で導入されることになったのでしょうか?
一連の動きには行政が深く関わっています。

【年表】
2013年6月:政府が世界最先端IT国家創造を宣言。
2013年12月:IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプランを決定。
2014年:「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を設置し、6回開催。
2015年1月:検討会最終とりまとめを公表し、社会実験のスタートを決定。
2015年8月31日:IT重説の社会実験開始。
2017年1月31日:IT重説の社会実験(賃貸)終了。
2017年3月:社会実験結果とりまとめを公表。
2017年10月:賃貸取引においてIT重説の本格運用開始。



まず2013年6月に政府が世界最先端IT国家創造宣言を行いました。対面・書面での交付が前提とされているサービスや手続きを含め、関連制度のIT利活用の検討を行い、アクションプランを策定するものです。

これを受けて、2013年12月IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプランをIT総合戦略本部が決定しました。インターネット等を利用した、対面以外の方法による重要事項説明について、具体的な手法や課題への対応策に関する検討に着手し、2014年6月に中間とりまとめを行い、2014年中に結論を得て、必要な方策を講じるという内容でした。

そして、「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を設置し、2014年度に6回開催しました。2015年1月公表の検討会最終とりまとめにおいて、賃貸取引と法人間売買取引を対象としたITを活用した重要事項説明に係る社会実験を行うことを決定しました。

社会実験は2015年8月末から開始され、以後2017年1月末までの約1年5ヶ月にわたって実施されました。国土交通省に登録した宅地建物取引業者(303社)のうち、53社が実際に実施に至り、そのほとんどが法人間以外賃貸の仲介・代理での実施でした。

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社会実験の結果、IT重説による特段の支障やトラブルは発生しておらず、「支障なし」と判断されました。
2017年3月のとりまとめ公表では以下のようにまとめられています。

賃貸取引において、IT重説を実施する際に遵守すべき事項の明確化、宅建業者への周知等の準備措置を実施した後、本格運用に移行することが適当である。本格運用は、準備措置が整い次第速やかに開始する(2017年10月目途)

法人間売買取引は、社会実験を継続実施することが適当であり、その後の検証検討会において検証の結果、必要な対策をとること等で問題ないと判断され、かつ、新たに懸念される点が生じなかった場合は、本格運用に移行する。なお、継続実施する社会実験は、新たに社会実験に参加する登録事業者の募集等の準備措置が整い次第、速やかに開始する(2017年8月目途)こととし、その期間は1年間とする。また、社会実験の開始後、半年に1回程度、検証検討会を開催し、その結果を検証することとし、検証の状況によっては社会実験の期間を短縮する。

個人を含む売買取引は2017年度に開始する賃貸取引の本格運用の実施状況、法人間売買取引の社会実験の検討結果を踏まえて、社会実験又は本格運用を行うことを検証検討会において検討する。
※参考:国土交通省 ITを活用した重要事項説明に係る社会実験の検証の結果

分かりやすくまとめると以下の3点が述べられています。
・賃貸取引は、2017年10月からの運用開始が示唆されました。
・法人間売買取引は、社会実験を継続し、検証の結果問題がなければ本格運用に移行します。
・個人を含む売買取引は、上記の賃貸取引・法人間売買取引の結果を踏まえて、社会実験または本格運用を行うことを検討します。

実際に2017年の10月から賃貸取引に関するIT重説は運用開始となっており、2018年7月現在、IT重説の本格運用が開始されているのは賃貸取引のみとなっています。


2. IT重説を行うメリット・デメリット

IT重説について概要はお分かりいただけたかと思います。
次はIT重説を行うことによる事業者・顧客双方のメリット・デメリットについて説明します。


2-1. IT重説を行うメリット


まずはメリットから紹介していきます。
家が遠くても大丈夫!!顧客の移動や費用の負担軽減
あなたも家を借りるときに不動産屋まで行くのを面倒に感じたことがあるかもしれません。夏の暑い日や冬の寒い日、大雨の日であればなおさらです。また子供が遠方に就学して、家の契約をするために親が契約者として宅建業者を再度訪問しなければならない場合は、時間もお金もかかってしまうため負担感が大きくなってしまいます。IT重説はネット上で説明を行うだけでいいので、非常に簡単で、余計な負担を感じることもありません。

日程調節がラクになる!!
平日には十分な時間を取れないなどの理由で重要事項説明の時間を捻出するのが難しい方は多いです。特に社会人として働いているとなかなか時間を取れない経験があるのではないでしょうか。IT重説は顧客のちょっとした空き時間で場所にとらわれずに実施できるため、日程調節の幅を広げることが可能です。

顧客がリラックスして重説を実施できる
顧客側は一般的に不動産取引に関して不慣れです。ひとによっては店舗で説明を受けるのも緊張するという方もいます。少しでもリラックスした状態でお客さんに説明を聞いてもらった方が、業者側としてもうれしいでしょう。

来店困難な場合でも本人への説明が可能
例えば契約者本人が怪我等により外出が困難な場合、従来であれば代理人等によって対応するしかありませんでした。しかしIT重説の導入によって、本人が外出できない場合でも本人に重説を行うことが可能となりました。

事業者側のメリットとは?
今まで顧客側のメリットだけを伝えていましたが、事業者側にもちろんメリットがあります。先ほどの「日程調節がラクになる」というのは調整する事業者側の業務負担の軽減にも繋がります。またIT重説を導入することで顧客に対して、より広い選択肢を与えることができるため、競合との差別化にもなります。逆に言えばIT重説に対応できない事業者はマイナスイメージをもたれる、そんな時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。


2-2. IT重説を行うデメリット


良いことづくめに見えるIT重説にもデメリットはあります。IT環境では表現しきれないものがあるからでしょう。

部屋を見ないことによる誤認の危険
例えば周囲の道の明るさとか、部屋の臭いなどは現地に行かなければ分からないものです。IT重説では現地に赴くことのないまま契約することが可能となっています。消費者側も周囲の環境や部屋内部の細かい部分まで事業者に尋ねる姿勢が必要かもしれません。

非対面であることによる意思疎通の障害
IT重説はテレビ電話とはいえ、やはり対面して説明を受ける場合に比べて意思疎通が取りにくくなることがあります。ネット回線が一時的に遅くなってしまっていた場合や耳の遠いお年寄りが契約する場合はそのようなリスクがより大きくなります。

IT環境の不備による障害
日本ではIT環境はほぼどこでも等しく整備されていますが、田舎の山間部や一部の僻地などではいまだに電波が弱い場所があるのも事実です。電波の弱い場所でIT重説を行い、途中で途切れてしまうなどするとIT重説の障害となってしまいます。これもITならではのデメリットです。

以上がIT重説で考えられるデメリットです。しかし社会実験でも特段大きな問題は起こっていないので、これらのリスクが大きいとも言えないでしょう。顧客によって、IT重説と従来の対面での重説を使い分ける必要がありそうです。


3. IT重説を行うための必須条件

IT重説を行うためは何点か満たさなければならない条件があります。まずはIT重説を行うことができる取引・業者・人について述べ、その後国土交通省による通知の内容を紹介します。
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3-1. 取引種類は賃貸取引に限定

2018年7月現在、取引種類は賃貸契約に関する取引に限定されています。(法人間売買取引は、社会実験を継続し、検証の結果問題がなければ本格運用に移行します。個人を含む売買取引は、賃貸取引・法人間売買取引の結果を踏まえて、社会実験または本格運用を行うことを検討します。)


3-2. 取引業者の種類は宅地建物取引業者のみ

すべての宅地建物取引業者についてIT重説の実施が可能とされています。社会実験時のような事前登録等は不要です。
「宅地建物取引業者」とは?

宅地建物取引業(=宅建業)とは、
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換
(2)売買や交換、貸借をするときの代理や媒介
を業として行うものをいいます。

宅建業は、「宅地建物取引業法」という法律の規制によって、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けた者でなければ営むことができません。国土交通大臣免許か、都道府県知事免許かは、事務所(本支店等)の設置状況によって決まります。宅建業の免許の有効期間は5年です。
ここで注意したいのは、大家から依頼を受けて行う貸借の仲介(入居者募集など)は宅建業に含まれますが、自らが行う貸借(貸しビルやアパート経営をする行為など)は宅建業に含まれず、宅地建物取引業の規制の対象業務ではないことです。
出典:不動産ジャパン


3-3. 取引できる人は宅地建物取引士のみ

すべての宅地建物取引士についてIT重説の実施が可能とされています。社会実験時のような事前登録等は不要です。
「宅地建物取引士」とは

宅地建物取引士とは、宅地建物取引主任者資格試験または宅地建物取引士資格試験に合格した人のうち、都道府県知事の登録を受けた上で、宅地建物取引士証の交付を受けた人のことで、不動産取引にかかわる広範な知識を有している流通の専門家です。宅地建物取引業法では、不動産の取引のなかでも特に重要な業務である、物件や契約内容等の説明(重要事項説明)と契約内容を記載した書面への記名押印については、宅地建物取引士しか取り扱えないと定められています。不動産会社が宅建業の免許を受けるためには、専門家である宅地建物取引士を一定数以上確保しなければいけないことになっています。
出典:不動産ジャパン


4. IT重説における遵守事項

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」として不動産業課長通知で発信されたもので、下記4点は特に遵守しなければならない事項です。『宅建業法第35条第一項関係で、IT重説を活用するにあたっては、次に掲げる全ての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に扱うこととする。』とされているので、実質的な最低限の必要事項になります。
注意
①双方向でやりとりできるIT環境の整備
宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
②重要事項説明の事前送付
宅地建物取引士により記名押印された重要事項説明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること。
③重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。
④宅地建物取引士証の確認
宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。

なお、IT重説の中断時には取引士は直ちに重説を中止し、問題を解消してから再開しなければならないとされています。決して難しい条件ではないですが、公平でトラブルのない取引を実現する必要があるための条件と言えるでしょう。


5. IT重説における留意事項

トラブルを回避する観点から可能な限り対応することが望ましい事項として国交省から公表されているものです。留意事項は大きく6点あります。それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
留意



①IT重説実施に関する関係者からの同意
「重要事項の説明は対面による方法か一定の条件の下でのIT重説によるのかの選択が可能となる。その選択に当たり、 相手方の意向を確認する際は、書面等の記録として残る方法が望ましい。個人情報保護の観点から、当該取引物件の貸主等関係者からの同意についても取得することが望ましい。」とされています。
相手方の希望を確認する場合に書面に残す方が後々のトラブルを避けられるからです。また貸主等関係者の同意も取得しておくと、宅建業者側としては絶対に巻き込まれたくないトラブルを回避できます。

②相手方のIT環境の確認
「説明の相手方から重要事項説明をIT重説で行うことについての希望があった場合、説明の相手方におけるIT環境が、十分なものであるかを事前に確認すること。」確認項目および内容は以下を参照してください。

・説明の相手方のIT環境が、宅建業者が利用を予定するテレビ会議等のソフトウェア等に対応可能であること。宅建業者が利用を予定するテレビ会議等のソフトウェア等に説明の相手方のIT環境が対応していない場合には、IT重説が実施できないため、説明の相手方が利用を予定する端末やインターネット回線等について確認する。
・宅建業者が利用を予定するテレビ会議等のソフトウェア等の利用に必要なアカウント等を説明の相手方が有していること。IT重説で使用するテレビ会議等のソフトウェア等によっては、アカウント等の取得が必要となる場合もあるため、宅建業者は、説明の相手方のアカウント等の有無について確認する。(宅建業者が利用者のアカウントを用意する場合には、確認不要)
・説明の相手方が「IT重説で求められるIT環境」で示す要件を満たす機器等を利用すること。

参考:賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル(平成29年9月)

③説明の相手方が契約当事者本人等であるかの確認
不動産契約に先立って本人確認を行うのは、従来と同じですがIT重説の場合はIT重説実施前までに、相手方の身分を確認し、契約当事者本人(またはその代理人)であることを確認することが求められます。本人であることの確認は、公的な身分証明書(運転免許証等)や第三者が発行した写真付の身分証(社員証等)で行うことが想定されます。
これは現状の重説でも同じフローを行っているかと思います。IT重説になったからといって省いたらダメということです。

④説明の相手方に対する内覧の実施
借りようとする物件を内見しないことで、想像していた内容と異なっていたなどのトラブルが発生する可能性が高くなります。したがって、IT重説によるか否かにかかわらず、契約締結までに内覧の実施を勧めることが望ましいです。
IT重説の大きなメリットでもあり、そしてデメリットでもあるのが内覧をしなくて良いことです。内覧をする/しないの選択はお客様に委ねて、宅建業者としては内見を勧めたほうがいいということです。

⑤録画・録音への対応
IT重説では録画・録音をしておくことがトラブルを避けるために有効な手段です。しかし、録音内容には個人情報が含まれる場合があるので、あらかじめ利用目的を明確にし、顧客と業者の双方了解の元で行うべきです。説明中に、録画・録音が続行できない(続行が不適切な)状況になった場合には顧客に録画・録音中断の旨を説明し、中断します。その後必要に応じて、録画・録音を再開します。業者側が記録として残す場合は、相手方の求めに応じて、コピーを提供します。録画・録音したものの扱いについては、個人情報保護法に則った管理が必要となります。

⑥個人情報保護法に関する対応
IT重説の実施によって得た情報の中には説明の相手方等の個人情報(特に、録画・録音を保存した場合、録画・録音記録など)が含まれるため、適切に管理する必要があります。また、使用するテレビ会議システムによっては、システムのサービスを提供する業者(スカイプなど)が、独自にプライバシーポリシー等を定めている場合があるため、このような場合にも、説明の相手方から当該プライバシーポリシーについて同意を得ることが必要となります。
従来の対面形式の重説でも、事業者個人情報保護法を考慮した扱いが必要でしたが、IT重説によって新たに録画・録音したコンテンツについても個人情報保護法に照らし合わせた管理が必要となりました。


6. IT重説の推奨環境

IT重説を行う上で、IT環境に関しては一定水準を満たしていることが求められます。以下に項目分けして説明しています。

テレビ画面
取引士は顧客の画面に取引士証の写真と文字が明確に判別できる程度に写っているかを確認します。また、IT重説中に自分がどのように相手に見えているか確認できるよう、ワイプ画面で自身の映像も表示されることが必要です。
カメラ
十分な性能(解像度等)を有する必要がある。
マイク
取引士と顧客の音声を判別するのに十分な性能を有する必要があります。今は普通のスマホやパソコンでもテレビ電話は十分にできますが、古い型をずっと使っている場合などは注意が必要です。また外部接続のマイクは音声が正しく出力されるか、事前確認する必要があります。
端末
実施する端末や使用するOSの種類に制限はありません。十分セキュリティを確保できる端末である必要があります。
音響機器
説明や質問等の内容が判別できる十分な性能を有する必要があります。
ソフトウェア
双方向でやりとりできるソフトウェアである必要があります。録画・録音を行う場合には、ソフトウェアが録画・録音対応しているのか確認する必要もあります。
インターネット回線
動画が滑らかに動き、静止画の状態で止まってしまうことがない必要があります。例えば通信制限中の3G回線などでは、動画の通信量に対応できないので、実施できません。またインターネットを使うので、ウイルス等の攻撃を考慮して十分なセキュリティを確保する必要があります。


7. IT重説の今後

未来
IT化は今までも様々な業界を飲み込んでいきました。銀行や証券会社、スーパーから高速自動車道まで10年20年前と比べるとあらゆる業界でIT化が進んでいることがわかると思います。IT化がもたらすものは大きく二つです。社会的コストの削減と適応できない者の衰退です。IT化することで今まで人間が物理的に動いて解決していた仕事が全てネット空間で解決できるようになります。これはIT重説に関しても同じです。例えば子どもが大学生になるにあたって親が部屋探しをして契約するというケースは例年2月3月によく見られますが、IT重説によって親がわざわざ現地に向かう必要は無くなります。子どもが気に入った物件を親が実家で説明を受け、契約するというフローが成り立つようになります。飛行機や新幹線で親が移動するコストは削減できますし、VR内覧をすれば、不動産業者も内見に割く時間を削減できます。2019年〜2020年を目処に整備が進められている5G回線が実用化すれば、VR動画による内見もかんたんにできるようになります。5G回線の速度は既存のLTE回線の約1000倍にも及びます。これは2時間の映画が3秒でダウンロードできる速度です。より高画質で完成度の高いVRが瞬時に見られるようになることで内見の形も変わっていくことでしょう。
不動産業界にもついにITの大波が押し寄せてきました。厳しいビジネス界を生き残っていけるのは、このような新しい流れについていくことのできる事業者になるのではないでしょうか。

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