VRと空間データ活用のヒントが見つかる

Quest for BusinessがVR業界にもたらすビジネスインパクトとは?

SNS大手のFacebook社が社名変更をしたニュースは、2021年10月に業界を駆け巡りました。

一般的には社名変更を中心に報じられていますが、Oculus Quest 2などのVRヘッドセットを扱う事業者にとっては大変インパクトのある発表もされています。
本記事では社名変更のみならず、実際にビジネスでVRヘッドセットを使っているユーザーにどのような影響があるのかまとめました。

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FacebookからMetaへ 社名変更の経緯

Meta社は元々、ゼロ年代からFacebookを中心としたSNS人気を牽引する会社でした。2010年代には次第にプラットフォームを活用したウェブ広告業を押し出すようになり、GAFAと呼ばれる、世界をまたにかける巨大インターネット企業の仲間入りを果たします。
InstagramやWhats Appなどさまざまな企業を買収して巨大コングロマリットとして成長してきたMeta社は、2016年にコンシューマー向けVRヘッドセットの最大手であったOculus VR社を23億円で買収。2019年にはゲーム会社のBeat Gamesを買収しています。

買収傾向からもわかるように、Meta社は2020年を境に、巨大SNSプラットフォーム企業から、ゲーム・VRを含むメタバース企業へと変貌を遂げようとしています。

では、本文中でも散々触れてきた「メタバース」とは何か?
メタバースとは、英語のmeta(=超)とuniverse(=宇宙)のverseを組み合わせた造語です。古くはSF小説にも登場する概念ですが、インターネット上に作られた仮想世界のことを呼ぶ言葉として近年使われています。
 
この「メタバース」を、2020年代の最新技術を使っていかに実現させるか? どこの企業が実現させられるのか?
メタバースが実現したら、その中での経済活動や仮想通貨、コンテンツ配信やECなど、さまざまな付随産業が発達します。その覇権をめぐって、多数の企業がメタバースの動向に注目しているのです。

Facebook社はその先駆けを担って立つという決意を込めて、社名を「Meta」に変更したと言われています。
 

Oculus Quest 2 → Meta Quest 2への変貌

Meta社がメタバース業界に大きく足跡を残した動きの一つとして、コンシューマー向けVRヘッドセット「Oculus Quest 2」の発売があります。

2020年10月に発売されたOculus Quest 2は、2016年にMeta社に買収されたOculus VR社の名を冠したVRヘッドセット。
PCやスマホを必要としないスタンドアロン型のVRヘッドセットで、従前のモデルであるOculus Goや初代Oculus Questに比べて圧倒的に軽量かつ低価格なので、VRヘッドセットの一般普及に大いに貢献したと言われています。
Oculus Quest 2は、社名の変更により2022年からは「Meta Quest 2」に製品名変更される予定だと発表されています。

これらの名称変更・ブランド統合に伴い、大きく変化するのはQuest 2のログインや管理に関するユーザーエクスペリエンスです。

また、今までビジネス使用向けにOculus for businessとして提供されていたサービスが、Quest for businessにリニューアルされることによって、アカウントの紐付け方などに大きな変化が起きると言われています。詳しく説明していきましょう。

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ログインにFacebookアカウント紐付け不要に Quest for Businessの始動


2021年10月に開催されたFacebook Connect 2021では、今まで「Oculus for Business」としてビジネス使用向けに提供されていたソリューションが「Quest for Business」にリニューアルされると発表がありました。
このことによる改善点は以下の3つ。

  • Facebookアカウント紐付けの廃止
  • ビジネスアカウントが使用可能
  • デバイスマネージャなどの提供開始

2021年現在はクローズドβ版として限定されたユーザーに公開されていますが、2022年以降はオープンβ版として広く展開されるようになる予定です。

以下にそれぞれ詳しく解説していきましょう。
 

Facebookアカウント紐付けの廃止

今まではOculus Quest 2を使用するには、Facebookのアカウントが必要でした。個人使用ならいいですが、ビジネス利用したいとなると、個人のFacebookアカウントの紐付けがプライバシー観点などから事業者にとってビジネスユースで扱いにくい一つの要因となっていました。
 
Facebookアカウントを必要としないログイン方法がQuest 2以降で広がることで、今までビジネス面でネックとされていた問題が解消されると期待されます。

 

ビジネスアカウントが使用可能

上記に関連して「Workアカウント」という名称のビジネスアカウントも発表されました。

このビジネスアカウントを使用することで、後述するモバイルデバイス管理(MDM)が利用できたり、個人用Facebookアカウントではなく、仕事用のプロフィールでQuest 2にログインが可能になります。

VRが研修や医療などさまざまな業務上でも利用されるようになった近年は「会社のビジネスアカウントを使用できないのか?」「個人のFacebookアカウントを紐付けたOculus Quest 2を業務に使用するはちょっと…」という不満の声がさまざまな方面から出ていました。
現にMeta社の元には「アカウント紐付け方式の運用中止」を求めるフィードバックがあったと、VR / AR部門責任者 Andrew Bosworth氏の Facebook投稿にも記載されています。

Quest for Businessの提供開始によって、ビジネスアカウントの使用が可能になったのは大きな変化だと言えます。

また、Oculus for Businessを利用したい場合はOculus for Business用のOculus Quest 2が必要であり、量販店や通販などで購入したデバイスをビジネス利用することができず、通常価格よりも799ドルと高価でした。
今回のQuest for Businessは量販店や通販で購入したデバイス(公式にはコンシューマ用デバイス)でもビジネスユースとして扱えることになり、B2B分野での利用が今後、広がっていくと考えられます。

 

デバイスマネージャなどの提供開始

ビジネス向けVRヘッドセットの利用において、社員が多数いる大企業などでは特に、大量利用も視野に入れているケースは近年では珍しくありません。
そんな企業に向けて提供が予定されているのがデバイスマネージャの機能です。

デバイスマネージャーによって、多数のQuestデバイスの設定などを直接制御できるようになり、例えば新人研修でのVRヘッドセット大規模導入なども実現可能になります。
また、デバイスマネージャーはサードパーティのモバイルデバイス管理と連携できるため、社内のセキュリティマネージメントによるネットワークセキュリティ、データ保護などが可能になります。

また、キオスクモードで各デバイスのVRエクスペリエンスを制御できるようになるとも発表されています。
通常、Oculus Quest 2を起動するとブラウザやストア、設定など様々なメニューが表示されますが、例えば研修などビジネス利用の場合には、受講生に対して特定のアプリのみを表示させて余分な操作ができないようにしたい、というニーズがあるかと思います。
このキオスクモードを活用することで、前述の余分なメニューを全て排除し、研修に使う特定のアプリのみを表示させることができるようになります。

このように、Quest 2のビジネス使用に向けたさまざまな改善が、Quest for Businessで行われると発表されているのです。
Quest for Businessは2022年からオープンβ版が提供されると発表されていますが、料金プランは現在のところ公表されていません。VRヘッドセットのビジネス利用拡大の機運に、各業界からの期待と注目が高まっています。
 

次世代のVRヘッドセット発表は2022年?


Meta社は2021年10月に次世代VRヘッドセット、コードネーム「Project Cambria」を発表しました。

この次世代VRヘッドセットには、フェイストラッキングや新しい光学系の搭載が発表されており、ハイエンドなヘッドセットになるということが発表されています。2022年には詳細情報が発表されるとされていますが、詳しい発売日は発表されていません。
ハイエンド機になるため、高性能・高機能ではありますが、価格としては高価格になると予想されます。 

また、かねてより噂されていたMeta社によるARグラスの開発についても、「Project Nazare」というコードネームで進行していることが同日発表されました。
ARグラスは、現在発売されている多機能スマートグラスとは一線を画するフルAR対応となると予想されています。

VRの進化とともに、現実を拡張するAR(=Augmented Reality)の進化もまた、Meta社が目指すメタバースの実現に欠かせないものなのかもしれません。
 

まとめ

Facebook社改めMeta社の社名変更から、ビジネス業界に与えるビジネスインパクトについて解説してまいりました。

スペースリーもXR関連企業に名を連ねる企業として、Meta社をはじめとするメタバース業界全体の進化にキャッチアップしつつ、プロダクトやサービスをアップデートをして参ります!

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