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【VRデバイス】Oculus Goの最新情報のまとめとレビュー

Facebookが今年の5月、一体型VRデバイス「Oculus Go」という、これまでのVRの常識を打ち破るゲームチェンジャーを発売しました。

これまでのVRデバイスと、一体型VRデバイスであるOculus Goは何が違うのか?また、Oculus Goではどんなアプリが使えるのか?

筆者が実際に購入し、使った感想と共に、わかりやすくお伝えします。

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1. 一体型VRデバイスって?

そもそもOculus Goのウリである一体型(スタンドアローン型)というのは何なのでしょうか?疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に解説します。

一体型(スタンドアローン型)VRデバイスは、その名の通り、すべてがオールインワンになっており、それ単体で動作するVRデバイスのことです。

これまで長い間、VRデバイスは単体で動作することはありませんでした。

2016年、「VR元年」という言葉が流行し、多くのVRデバイスが世に出回りましたが、そのどれもがゴーグル+処理装置で動作するもの。

わかりやすくざっくり2つに分けると、スマホに接続するタイプのものと、PCに接続するタイプのものの2種類がVRデバイスとして発売されていました。

VR

左がスマホを入れるタイプのVR、右がPCに繋いで使うタイプのVR

ただどちらも、日常的に使うにあたっての課題があったことは否めません。

スマホに接続するタイプのものはスマホを着脱する手間がかかりますし、また、放熱やバッテリーの問題で長時間の使用には向いていませんでした。

Galaxyシリーズのスマホで使えるGear VR

一方で、PCなど外部の処理装置を使うものは、高性能なPC(もしくはPSVRのようにゲーム機)を必要とします。1から機材を揃えようとすると、10万円近い出費となり、導入に大きなコストがかかってしまいます。

また、処理装置に接続するためのケーブルがあるため、やはり装着にはひと手間かかってしまいます(最近は無線でPCと接続できるものも発売されており、この点に関しては改善が進んでいます)。

ごちゃごちゃしたケーブルは、装着の手間になるだけでなく、没入感を損ねる原因にも

Oculus Goは、かぶってしまえばそのまま使える手軽な一体型で、かつ非常に低価格です。このため、VRの普及を大きく後押しする一台になる可能性が高いデバイスだといえます。

ちなみに、Oculus Go以外にも一体型VRデバイスは2つ発売されています。しかし、Lenovoから発売されているMirage Soloは約45,000円、HTCのVive Focusは約66,000円(法人向けのみの販売)と、どちらも気軽に購入できる価格帯ではありません。

2. Oculus Goの基本情報

それでは、Oculus Goのスペックをみていきましょう。

名称 Oculus Go
プロセッサー Qualcomm Snapdragon 821
ディスプレイ解像度 2560×1440、538ppiの液晶パネル
視野角 110度
容量 32GB / 64GB
オーディオ ヘッドセット内蔵型スペシャルオーディオドライバ
(3.5mmのオーディオジャックも使用可能)
バッテリー駆動時間 ゲーム利用で約2時間
動画視聴で約2時間30分
付属品 ・専用コントローラー
・USBケーブル
・眼鏡スペーサー
価格 32GB:23,800円
64GB:29,800円
購入 Oculus Go公式サイト
amazon.co.jp

※2018年11月26日より、amazonで正規品の購入が可能になりました!

プロセッサーはSnapdragon 821。ハイエンド向けの800番台のチップセットです。

さすがに、10万円台のスマホに搭載されているような最新のチップセット(Snapdragon 835や845)に比べると、処理能力は劣ってしまいますが、2万円台というOculus Goの価格を考えればコスパは抜群です。

Galaxy S7のプロセッサーがSnapdragon820ですので、それよりも処理能力は高いということになります。実際、VRゲームを遊んでいてもパワー不足を感じることはほとんどありません

解像度は両眼で2560×1440
2016年に発売された、第1世代の消費者向けハイエンドVR、HTC ViveとOculus Riftの解像度が2160×1200であることを考えると、この解像度の高さは驚きです。

ちなみに、Viveのアップグレード版Vive Pro(税抜94,000円)の解像度が2880×1600です。

PCに繋いで使うハイエンド型と一体型のスペックを単純に比較するのはナンセンスかもしれませんが、それでも、それに匹敵する高精細の映像を楽しめるというのは事実。コスパの高さがおわかり頂けるでしょうか。

容量は32GBと64GBの2種類です。

公式サイトによれば、64GBモデルであれば「HD映画7本、ゲーム20本、アプリ40本」、32GBモデルであれば「HD映画3本、ゲーム10本、アプリ20本」を本体に保存可能。

ストレージ容量の違いによるスペックの変化はなく、どちらのモデルでも同じように快適なVR体験ができます。用途に応じて選べば問題ありませんが、個人的には32GBモデルがおすすめです。

容量の大きいゲームをたくさん詰め込んで、ガシガシ使うというようなデバイスではありませんし、何より、2万円台前半の価格で購入してこそ、Oculus Goの魅力であるコスパを実感できるように思います。

付属品として、コントローラー、USBケーブルと眼鏡スペーサーが同梱されています。
USBケーブルは付いていても、電源アダプタが付属していないので注意。(多くの方が、スマホ充電用などにお持ちのことかとは思いますが…。)

ちなみに、Oculus Go公式サイトでは、10W(5V 2A)の充電アダプタの使用を推奨しています。Oculus Goのために新しく購入を検討している方がいらっしゃれば、参考になさってください。

また先日、公式からOculus Goのキャリングケースも発売されました。

頻繁に持ち運ぶことのある方は、ひとつ持っておいて損はないかもしれません。Oculus Goはセンサーを多く搭載した精密機械ですし、万が一画面に傷が入ってしまった場合、没入感を損なうこともなるので注意しましょう。

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3. どんなアプリがあるの?

Oculus Goは、GalaxyのGear VRと同じOculusプラットフォームを採用しています。これは、Gear VRはOculus社とSamsung社の共同開発したVRだからです。

Gear VRは既に3年ほどの歴史を持っているVRなので、Oculusプラットフォーム用のアプリはかなり充実しています。既に1000以上の対応アプリが配信されていますし、その数は今後も順調に増えてゆくことでしょう。

有名、かつ評価の高いものをいくつか紹介いたします。

YouTube VR

YouTube VRは、Oculus GoでYouTubeの動画を再生するためのアプリ。

実は5月にOculus Goが発売されて以降、長らくYouTubeの公式アプリが存在しておらず、YouTube動画はブラウザを使って面倒な方法で再生するしかありませんでした。今月になってようやくアプリの配信がスタートし、ストレスフリーにYouTubeの動画をVRで閲覧することが可能になりました。

360度動画や180度動画だけでなく、通常の動画もVR内の大画面で再生することができるようになっています。

また、β版ではありますが、VR内で他のユーザーと一緒に動画を見る機能も。動画再生の在り方自体が変わっていくかもしれませんね。

Netflix VR

Netflix VRは、その名の通りVR内で動画配信サービスNetflixを楽しめるアプリ。

VRで楽しめるといっても、Netflixに360度VR動画があるわけではなく、再生できるのは通常の2Dコンテンツ。VR内のシアタールームで、大画面で映画やドラマを楽しめるというものです。



寝っ転がったままの動画鑑賞もできて、かなり快適です。これがあれば、自宅にテレビがなくても全く問題ないという人もいるかもしれません。

Oculus Rooms

Oculus Roomsは、VR内で遠くにいる友だちと実際に会って、会話やちょっとしたミニゲームが遊べるアプリ。

Facebookは、VRが次世代のソーシャルメディアの形として普及していくと睨んでおり、多額の投資を行っています。Oculus Goがこれだけの低価格で発売されたのにも、そういった背景があります。

あまり多くの機能があるアプリではありませんが、Oculus Roomsが実現する「誰かと会って話す」という体験の質は、非常に高いものです。

例えば、それを実現する要素の一つが立体音響。右にいる人の声は右の方から、左にいる人の声は左の方から、距離感も反映して聞こえて来るので、本当にその場で誰かと話しているような感覚をもたらします。

このOculus RoomsはVR会議アプリとして特に完成度が高く、「実際に会う必要がなくなる」などと、多くのメディアで取り上げられました。

このOculus Rooms以外にも、Oculus Goで使えるVR会議アプリは多数あります。以下の記事でまとめてあるので、ぜひ併せてご覧ください。

参考:
【VR会議】便利過ぎて手放せなくなる?VR会議アプリ9選!

4. イマイチな点

素晴らしい点をたくさんお伝えしてきましたが、残念ながらOculus Goにはイマイチな点もあります。

それは、文字入力が現状英語でしか出来ないこと。現状、Oculus Goの中のキーボードでは、日本語を打ち込むことはできません。

Oculus Goにはブラウザがインストールされており、せっかくVRの大画面を活かしてのネットサーフィンができるようになっているのに、現状それができないのです。これはなんとも惜しいこと。

外部のツールを使って、無理やり日本語を打ち込むことはできますが、非常に面倒くさいです。

日本語キーボードの実装なんてそんなに手間がかかることではないと思うので、早急に対応してほしいものです…。もう発売から半年経っているのに、これは一体どういうことなのでしょう。

なお、YouTube VR内のキーボードでは日本語入力が可能になっているので、お目当ての動画を探すのに困ることはありません。さすがGoogle!

5. まとめ

Oculus GoとこれまでのVRデバイスとの違いや、一体型VRとはどのようなものなのか、ご理解頂けたでしょうか。

2年前、10万円のローンを組んでHTC Viveを購入した筆者としては、2万円台でこのクオリティのものが手に入ることの凄さが身に沁みます…。来年にはOculus Goの上位機Oculus Questの発売も予定されており、そちらは本格的なゲーマーにも向けた1台になるもようです。

本当にVR分野の発展は凄まじく、今後VRがどのように世界を変えてゆくのか楽しみでなりません!

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