「VR元年」と呼ばれた2016年には、HTC ViveやOculus Riftなど、数多くのVRデバイスが一般向けにデビューしました。
その中でも特に印象に残っているのが、連日品薄と報じられ、なかなか手に入れることのできなかったPlayStation VR(PSVR)です。
VRブームを牽引したPSVRはどんなデバイスなのか?発売から2年が経過した今、発売されているゲームソフトの最新情報と併せて、わかりやすくまとめてみます。
PSVRは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) が2016年10月13日にリリースしたVRシステムです。
ゲーム機PlayStation4に接続して使うゴーグルで、スマホVRや一体型VRに比べるとかなりリッチなVR体験が可能。PC用VRのようなハイエンドVRに位置づけられるデバイスだといえます。
実は新型が2017年10月に発売されており、一括りにPSVRといっても正確には2つのモデルが存在しています(旧型がCUH-ZVR1,新型がCUH-ZVR2)。
スペック面においての変化は全くありませんが、
・ヘッドホン端子の位置、付属ステレオヘッドホンの形状に変化
・接続端子、電源や音量などの操作ボタンがゴーグル(ヘッドユニット)に一体化
・HDRパススルー機能が追加
といったマイナーチェンジが加えられています。
PSVRは2018年8月16日の時点で累計販売台数が300万台を突破したと報じられており、ハイエンドVRの中では最も世界に普及しているデバイスだといえます。
※HTCとOculusはどちらも販売台数を公表していませんが、PSVRの出荷台数との間には数倍もの開きがあると見られています。
それでは、PSVRの基本情報を見ていきましょう。
名称 | PlayStation VR (PlayStation Camera同梱版) |
ディスプレイ解像度 | 1920×RGB×1080 (左右の目それぞれに960×RGB×1080の映像を表示) |
視野角 | 約100度 |
リフレッシュノート | 120Hz、90Hz |
内容物 | ・VRヘッドセット ・PlayStation Camera ・プロセッサーユニット ・HDMIケーブル ・USBケーブル ・ステレオヘッドホン(イヤーピース一式) ・電源コード ・ACアダプター |
価格 | 34,980円(税別) |
名称 | PlayStation VR (PlayStation Camera同梱版) |
ディスプレイ解像度 | 1920×RGB×1080 (左右の目それぞれに960×RGB×1080の映像を表示) |
視野角 | 約100度 |
リフレッシュノート | 120Hz、90Hz |
内容物 | ・VRヘッドセット ・PlayStation Camera ・プロセッサーユニット ・HDMIケーブル ・USBケーブル ・ステレオヘッドホン(イヤーピース一式) ・電源コード ・ACアダプター |
価格 | 34,980円(税別) |
このようにスペックを並べてみると、解像度、視野角共に、同時期に発売されたハイエンドVRのViveとRiftよりやや劣っているのがわかります。ViveとRiftはどちらも、解像度が2160×1200、視野角は110度です。
リフレッシュノートは120Hzとなっているものの、実際に高いフレームレートが出せるかどうかは処理装置であるPS4の性能に依存しています。そのため、実際には120よりはだいぶ低いフレームレートで動くと考えておいたほうが良いと思います。
注目すべきは価格です。PSVR(カメラ同梱版)は、2018年3月29日に値下げが行われ、現在は34,980円(税別)で入手が可能になっています。発売開始当初49,980円(税別)という価格設定だったことを考えれば、かなりお手頃になったといえます。
ただ、もちろんこのセットだけではVR体験をすることはできません。3万円程度で販売されているPS4が必要になるので、一からVR体験をしようとするとトータルでおよそ65,000円が必要です。
また、タイトルによって、よりVRに没入するためには、PS4付属のコントローラーではなく、PSVR用のモーションコントローラーが必要になることもあるので、更に数万円が必要になる可能性も考えなければいけません。
それでも、10万円以上かかるハイエンドVRよりは、かなり安く揃えることができますね。
PSVRは、PC向けハイエンドVRともスマホVRとも位置づけの異なる特殊なVRデバイスです。PSVRを使って、どのようなVR体験ができるのかイメージが湧かない人のためにまとめてみました。
PSVRでできるのは、大きく分けて
・PSVR向けゲームのプレイ
・シネマティックモードを使った、2Dゲームのプレイ・動画鑑賞
・360度/180度VR動画の鑑賞
この3つです。
PSVRでのメインとなる体験は、もちろんPSVR用ゲームソフトのプレイです。
PSVR用ゲームソフトには、『PlayStation VR WORLDS』や『Farpoint』といった、PSVRだけでしか遊べないようなゲームだけでなく、
『BIOHAZARD 7 resident evil』のように、ゲーム前編がVR/2Dどちらでも遊べるもの、
また、2019年1月に発売が予定されている『エースコンバット7』のような、「VRモード」として一部のみがVRでプレイ可能になっているものなど、様々です。
PSVR向けコンテンツは、2018年8月時点で、コンテンツ数は340本、累計2190万本が利用されていると発表されています。アクション、シューティング、シュミレーションなどの、幅広いジャンルのゲーム展開です。
以下の動画では、2019年2月時点での、注目PSVRタイトル16を紹介しています。興味のあるタイトルが見つかったら、ぜひチェックしてみてくださいね。
PSVRの2つ目の使い方として、シネマティックモードを使った、通常のPS4タイトルのプレイや動画鑑賞が挙げられます。
このモードを使うと、仮想空間内に巨大なスクリーンが現れ、さながら大きな映画館を貸し切って、特等席でスクリーンを観ているかのような体験ができます。
画面サイズは117インチ、163インチ、226インチの3段階から調整できるので、好みの大きさで使うことが可能。
また、ゲームプレイや動画鑑賞だけでなく、シェアプレイやLive from PlayStationといったソーシャル機能、torne(トルネ)で録画した番組の視聴など、PS4ならではの機能も。テレビ番組を巨大スクリーンで観られるというのは、新鮮な体験になるかもしれませんね。
360度動画や180度動画を鑑賞することも可能です。
最もVR動画が多く投稿されているYouTubeのものだけでなく、コロプラ子会社の提供する360Channelや、DMMの配信している360度/180度動画も鑑賞が可能となっています。
この機能に関しては、基本的にできることはスマホVRと大きな差はなさそうです。
30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。
筆者の個人的な考えで、PSVRの強みと弱みをまとめてみます。
PSVRの何よりの強みは、低価格で一からシステムが構築できることや、PCに詳しくない人でも煩雑な設定無しに利用できることだといえます。
同じハイエンドに分類されるPCVRは、設定次第でゲーム以外にも多くの使い方ができる一方で、コンピューターに関してある程度のリテラシーを必要とします。問題が発生したときに自分で対処できる能力がなければ使えないので、上級者向けのデバイスです。
また、一から揃えようとすると、低価格化が進んだ今でも10万円を優に超える初期投資が必要になるので、よっぽどの機械好きでなければハードルが高いといえます。
PSVRはこれらの点でのハードルは非常に低く、かつ、スマホVRよりもリッチなコンテンツを体験することができるデバイスだったため、世界中に300万台以上も普及したのでしょう。
・トラッキングの精度が低い
PSVRは、他のハイエンドVRに比べて、トラッキングが正確でないという弱みがあります。
HTC ViveやOculus Riftなど、PCに接続するタイプのハイエンドVRは、外部センサーを複数使ってトラッキングを行うので、正確なトラッキングが期待できます。
一方で、PSVRは1台のカメラとゴーグルのライト、およびゴーグルの加速度センサーとジャイロセンサーを使ってトラッキングするため、精度はあまり高くありません。
実際、上述のシネマティックモードでのプレイ時、自分の位置がどんどんずれていってしまうという報告もネットで多数見受けられています。
・スペックが低い
ちょうど1年ほど前に、超大作タイトル『Fallout4』のVR版が発売されましたが、PC版(Viveのみ)に対応し、PSVR版の発売はありませんでした。
これは、PS4のスペックが低く、Fallout4のような最新のゲームをVRで動かすことができなかったためです。
同じ「ハイエンド」という括りでも、10万円近くするPCとゲーム機のPS4では、実際のスペックは全く異なります。
今後も、スペックの求められるタイトルはPC版のみが発売されるという状況が続くのかもしれません。
PSVRはハイエンドVRに比べると、トラッキングシステムなどスペックの制約のため今後の拡張性は高いとはいえません。
また、Oculus QuestやMirage Soloのようなハイエンドの一体型VRも出てきている中、ポジショニングがうまく図れていない印象をどうしても持ってしまいます。
ただ、既に述べたように、導入に関しての複雑さがまったくないというのはPSVRの大きな強みです。
ゲームセンターなど商業施設にはViveやRiftが導入されていく一方で、一般消費者は家でPSVRを遊ぶ、というような棲み分けが今後進んでいくのかもしれません。
PS5の噂もありますし、今後PSVRがVR戦国時代をどう生き抜いていくのか、注目していきたいと思います。
いかがだったでしょうか?
VRは一度体験してみないとイメージが湧かないものです。
興味を持ってくださった方は、是非PlayStation VRを体験してみてください!