前回の記事(VR企画展示『Photo VR』を振り返る① ー 女性向けファッションビルでのVRイベント)で、『Photo VR』というVR企画展を開催したことを報告させて頂きました。
VRデバイスを使った企画展はあまり例がなく、ノウハウも少ないために手探りの運営でした。今回の記事では、『Photo VR』展を通して気づいた、今後VRデバイスを用いたイベントの運営をする際に参考になるような情報を紹介したいと思います。
※スペースリーの展示場VRのサンプル。VR内に商品ページのリンクはもちろん、画像・動画・商品説明の埋め込みも可能です。
VRデバイスを使った展示では、注意するべき点がいくつも出てきます。 まずは何より、お客さんの身の安全です。
ゴーグルを着けると、当然ながら周りの景色は全く見えなくなります。今回はその場で頭を360度動かすだけで楽しめる作品しか展示しませんでしたが、お客さんの中には「歩けば景色も変わるのでは」と勘違いして歩き始める方もいらっしゃいました。
『Photo VR』の展示を行ったNEWoMan labというスペースは、周りの通路に比べて一段高い場所にあります。会場の端には30cm程度の段差があるため、ここからお客さんが落下することのないように常に注意を払う必要がありました。
可能であれば、そのような段差がなく、広さに余裕のある場所でVR展示を行うことが理想的だと思います。
また、周りが見えなくなるという点では盗難にも気をつける必要があります。ゴーグルを着けている間は周りに対して全くの無防備となってしまうので、お客さんの荷物には常に注意を払っていました。
幸い、今回は小規模なイベントだったこともあって、これらのようなアクシデントは起こらず無事に終えることができました。
『Photo VR』では混雑時には2人、余裕のある時間帯は1人の体制でスタッフを配置していましたが、それでも全員に完璧に気を配ることは難しかったように思います。規模が大きいイベントを企画する場合は、スタッフも多めに配置するべきでしょう。
VRコンテンツを展示する際は、VR酔いに関しても注意が必要です。
『Photo VR』で展示したのは比較的VR酔いに陥りづらい静止画でしたが、VR酔いの症状を訴えるお客さんが一定数いらっしゃいました。
ほとんどの場合、原因は視点の動きに映像がついていけない(スマホのスペック上、どうしても遅延が生じる)ことなので、ゆっくり頭を動かして写真を閲覧することでVR酔いを抑える事ができます。 横から見ていて明らかに酔いそうな動きをしているお客さんには、その旨を伝えるように気を配りました。
また、ゴーグル内でスマホの位置がずれてしまい、それをそのまま観ることで酔ってしまう方も見受けられました。スマホが適正な位置にはまっているかのチェックは頻繁に行う必要があります。
展示の性質上、不特定多数の人がゴーグルを使います。顔に密着するパッドの部分が汚れてはいけないので、パッド部分に低刺激の殺菌スプレーを使用するなどして常に清潔に保てるようにしました。
混雑時にはなかなか丁寧に殺菌をしている余裕がなく、最低限の清掃しかできませんでしたが、特にパッドが汚れるなどの問題はありませんでした。
夏場など汗をかきやすい時期にVRの展示を行うときには注意が必要そうです。
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スマホを常に稼働させての展示なので、バッテリーの残量に常に気を使う必要がありました。5台のスマホで4つのゴーグルを回さなければならなかったため、十分な充電時間が取れないこともしばしば。スマホの台数に余裕を持って実施することがベストです。
また、お客さんの人数が増えたときの処理も大変でした。
大混雑は想定していなかったため、順番待ちの列などは設けていなかったのですが、待っていたのに順番を抜かされてしまう方も発生してしまいました。イベントを開催した場所が女性向けのファッションビルということで、当初はどれぐらい人がくるか読めなかったのですが、結果的に無料で体験できるVRイベントは一般層の人たちに想像以上に人気があることがわかりました。また、誰もいないときは素通りする人が多いものの、VRゴーグルを覗き込んでいるお客さんがいると、「何を見ているんだろう?」と通行人の興味を引くため、一旦混雑し始めると人が人を呼ぶ状況になりました。したがって、混雑した時のことを予め想定し、順番待ちの場所を設けておくことが理想的でしょう。
このように、反省すべき点もいくつかありましたが、Photo VRは6日間で4000人以上の来場を記録し、イベントとしては成功をおさめることができました。
VRイベントはまだ多く行われておらず、確立されているノウハウもありません。しかし、混雑してくると、安全面や防犯の配慮、スマホがずれていないか、充電は十分かなどのチェックは難しくなってきますので、事前にしっかりとマニュアルを作って、イベント担当者がしっかりと目を通しておくことが重要になります。これからVR関係のイベントを開催しようとする方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
参考リンク:
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