高齢化社会が進む現代日本。
65歳以上の6人に1人が認知症患者であることから、認知症は決して珍しい病ではなくなってきました。
認知症患者の幻覚や徘徊、妄想やパニック症状はケアする側から見れば意味の分からない行動として映ってしまいます。
認知症を誤解したまま接することで、患者の症状を悪化させてしまうケースも。
これまでは予防や治療も医療機関や福祉関係者任せでどうすることもできないと思われていました。
ですがVRを活用して認知症患者の治療や予防、認知症患者をケアする側にも認知症体験してもらうなど認知症に対する取り組みが、大きく変わろうとしています。
今回は、認知症に対するVRを活用するメリットやデメリット、導入企業3社と併せて紹介していきます。
【目次】
認知症にVRを活用するメリット3つとその利用法も併せて紹介していきます。
認知症にVRを取り入れることで、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
認知症患者の治療や予防、更にケアする側にも症状の理解を深めることができます。
VRを使うと認知症の体験ができることから、認知症患者をケアする側の勉強にも役立ちます。
家族の名前や顔まで忘れてしまったり、幻覚症状やパニックなど認知症患者の行動はケアする側には、
「困った人」
「迷惑な人」
と認知症患者への偏見や誤解を持ったまま接することになってしまい、認知症の症状を悪化させてしまう原因にも。
ですが、VR体験することで患者への理解が深まりケアする側も患者の気持ちに寄り添い「どうすれば良い」のかを考え行動することができるようになります。
認知症の治療によく用いられる治療に、「回想法」というものがあります。
昔の慣れ親しんだ思い出の品物や、写真・音楽などを振り返って語り合うという治療法であり、VRが大きく貢献できます。
認知症患者の年齢や性別に合った映像をよりリアルに投入、体験が可能。
写真などよりも立体的な映像と共に見てもらうことで、脳が活性化して認知症の治療に役立つのです。
VRを活用すると、認知症治療だけでなく予防まですることができます。
VRゴーグルで空間ナビ機能を測定することで、認知症発症リスクを判定することが可能に。
認知症の早期発見ができることで、早急な対策がとれるようになり認知症の予防につながるのです。
ここまで認知症にVRを導入するメリットについて紹介してきました。
認知症患者やケアする側にもVRの活用は画期的なものではありますが、デメリットはないのでしょうか。
認知症にVRを導入する注意点2つを詳しくみていきましょう。
認知症にVRを導入するデメリットは、初期費用がかかってしまうことがあげられます。
購入やレンタルという方法はあるものの、コストがかかることは避けられません。
とはいえ、長い目で見た時に自宅や施設で手軽にVRで症状の進行を抑えられ、ケアする側の勉強にもなるのであればそこまで高いコストではないとも言えるでしょう。
VRのようなデジタル製品を使うことに抵抗のある高齢者も多いのは事実。
デジタル慣れていないと使うことに難しさを感じてしまいせっかくの機材を活用できないということも。
ですが、覚えてしまえば楽しかった思い出と共に認知症の治療が行えるのでメリットも大きいといえます。
家族や介護職員にセットアップなどをサポートしてもらうなど協力してもらうことも方法の1つです。
30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。
それでは、実際にVRを活用している企業事例を3つ紹介していきます。
これら3社は一体、VRをどのように活用しているのでしょうか。
認知症へのイメージや治療法がVRを活用することで、進化しより良く変わろうとしています。
イギリスのスタートアップ企業であるVirtueは、認知症の治療に効果的と言われている回想法に効果的なVRを発表しています。
LookBack VRというシステムで、認知症患者の年齢・性別から流行した場所や映画などを体感することが可能に。
360度見渡せるVRは思い出の世界をリアルに体感することができ、回想法に効果的と言えるでしょう。
患者の思い出の深い時代の記憶をよみがえらせることで、脳が活性化して認知症への治療に繋がるのです。
引用:株式会社シルバーウッド
株式会社シルバーウッドは、健常者でも認知症を体験できるVR認知症を発表しました。
サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」を運営している企業が、認知症に対する世間のイメージを払拭するために開発。
認知症患者の視点で進められるVRを体感することで、認知症患者ではない人にも気持ちの変化が起きます。
認知症患者とどう接していけばよいかを考え、患者の気持ちに寄り添うきっかけとなります。
引用:朝日新聞
朝日新聞社は2019年から認知症フレンドリープロジェクトをスタートさせました。
認知症になっても自分らしく生きることのできる社会づくりを目指して活動しています。
講座の内容は階段の上り下りや幻覚をVR体験。
更に、朝日新聞社が用意したわかりやすいテキストが認知症への理解をより深めてくれます。
認知症にVRに活用するメリット・デメリットや導入企業の事例を紹介してきました。
高齢化社会が進む日本において、認知症は決して他人事な問題ではありません。
当事者や家族、福祉関係の人だけではなくみんなが理解していくべき認知症。
VRの活用が認知症の治療や予防につながり、ケアする側の認知症の疑似体験までできるようになりました。
これから認知症に対するVRの活用が、どう進化していくのも注目です。