2020年はコロナ問題に対応した新たな生活様式の浸透とともに、VR(ヴァーチャル・リアリティー)の活用が大きく進んでいます。
不動産分野のみならず、住宅分野でも拡大するVRの活用。今回は、住宅業界におけるVRの活用や特徴について、具体的な事例を見ながらご紹介していきます。
【目次】
VR(ヴァーチャル・リアリティー)は2016年ごろからゲームや動画をみる、といったエンターテイメントとしての利用が一般に使われはじめました。その後、不動産分野を中心にビジネスの現場でもVRは使われるようになってきました。
ビジネス分野でもメリットがあることが分かってきたためです。VRを利用することで、オンラインでもより魅力的な情報発信ができるようになったり、色々な家を何度も現地で案内する時間や人件費を削減することができます。
そして、2020年のコロナ問題はビジネスに深刻な悪影響を与えました。住宅分野も大きな影響を受けました。住宅展示場やモデルルームに行く人も減り、その対応で、VR住宅展示場の取り組みに注目が集まるようになりました。
VRによって、顧客はそれぞれの住宅展示場まで行かずに、理想の家探しができるような環境が出来てきました。住宅分野では、顧客は工務店やハウスメーカーに赴いて最終的には理想の家を決めます。しかし、事前の家探しのプロセスではVRが大きな味方になっています。
以下では住宅分野におけるVRの活用の可能性や特徴、メリットを解説していきます。
「VRを活用して理想の家探し!」と言っても、本当にそんなことが可能なのかと疑問をお持ちの方も多いと思います。
そこで、住宅分野におけるVR活用の可能性について解説します。
じつは、住宅分野はVRととても相性の良い分野です。なぜでしょう?
理由は住宅分野がもつ時間的・空間的な制約、魅力を伝える難しさを、VRがうまくカバーしてくれるからです。
理想の家探しのために、モデルハウスやモデルルームに顧客が足を運ぶのが一般的でした。移動の時間、手間は顧客にはどうしてもかかりますね。また、週末や平日に休みをとって行くこととなります。これは時間的な制約です。
また、モデルハウスやモデルルームを実物で作るのに大きなコストがかかり、一定期間で終わってしまいます。空間をそのままずっと残しておくことは難しいですね。これが空間的な制約です。事業者にも大きな負担となっています。
事業者は、実物には劣るけども写真や動画で、家の魅力を伝えます。でも、なかなか家の空間としてのデザインや魅力を伝えるのは難しいです。3Dキャドが一般化して、それをお店で見せることは出来るようになってきましたが、オンラインや遠隔では出来ません。これが、魅力を伝える難しさです。
つまり、住宅は「いつでも、どこでも、魅力を最大限伝える」ことができる商品ではありませんでした。
VRは住宅を、そして理想の家探しをする顧客にとって、いつでも、どこでも、魅力を伝えることのできる商品に変化させました。
VRは住宅の時間的・空間的な制約、魅力を伝える難しさを解消するのにうってつけの技術なのです。
まさにコロナ問題に対応して、来客が減るハウスメーカーや工務店の大きな味方になるものです。
住宅業界でVRを導入することのメリットを整理しておきます。メリットは大きくわけて3つです。
1つ目のメリットは「コスト削減」です。
住宅展示場やモデルルームを作るのは大きな費用がかかります。でも、VRを使えば大きなコスト削減になります。実物の良さはもちろんあります。ただ、消費者はオンラインを活用して情報収集の方法が大きく変化する中で、展示場のメリットは小さくなり、このVRによるコスト削減のメリットが大きくなります。
また、住宅展示場やモデルルームを作る費用だけでなく、接客を含めた人件費も削減することが出来ます。家という大きな買い物なので、顧客は専門家である事業者にももちろん相談したいと思うでしょう。ただ、それはモデルルームや住宅展示場の場所に人がいなくても、VRを使って遠隔でも、お店でもできるようになります。
実物の住宅展示場やモデルハウス、モデルルームも大事ですが、一部がVRに置き換わるのは、消費者の行動変化、また、コロナ問題に対応した新たな生活様式では、自然の流れになるでしょう。
2つ目のメリットは「集客力アップ」です。
VRが広がりつつあっても、まだまだ新しい技術です。VRを導入している、ということはプロモーションやブランディングに直結します。VRコンテンツを提供しているということが会社の強みになります。
さらに、VRコンテンツはオンラインのウェブ上でも活躍します。WEB上で様々な家のVRコンテンツを公開することで、顧客のWEB滞在時間が伸び、実店舗への集客につなげることができます。
3つ目のメリットは「成約率アップ」です。
VRを使えば接客をしたコンテンツをオンライン化してあげて、顧客はいつでも、どこでも家族での相談でデザインした家を確認することができます。検討もしやすくなり、成約率アップにつなげることができます。
顧客にとっても、なかなか理想の家かどうか、雰囲気など判断することは難しいです。VRによって、魅力をわかりやすく伝え、事業者と顧客のミスコミュニケーションを減らすことが出来ます。納得して顧客も理想の家はこれ!!と判断できるようになります。
ここからは実際に住宅分野でVRがどのように活用されているのか、特徴や利用されているシステムなど、具体的な事例でご紹介します。
新潟の住宅事業者が多数集まって、ハウこま島という場所にVR住宅展示場が出来ています。架空の街つくりで世界観を伝えたやり方も、特徴的で、随所に工夫を感じます。
新潟県のニューズライン社が企画しています。様々な実写のモデルハウスがたくさんあり、見てるだけでとても楽しくなりますね。
今後も新しい住宅事業者が参加して、新しいモデルハウスが追加されていくので、拡張する住宅展示場となっています。VR展示場ならではで参考になる面白い取り組みです。
コロナ問題に対応した新しい生活様式の中では、住む場所の選択肢も増えます。そういう中で、新潟県への引越しをする遠方地の人たちの集客力アップなど、新しい可能性を感じます。
日本ユニシス社が提供するマイホームマーケットを利用して、実物ではなく3Dキャドで設計された家をVR化した住宅展示場です。
多くの住宅会社が参加して、実物ではなく設計デザインされたたくさんの家を見ることが出来ます。注文住宅を考える上でとても参考になりますね。
それぞれのVR住宅を見るのに、少しページの読み込みは重いですが、綺麗な実物のようなVRコンテンツがたくさん見れます。また、一つの街が表現されていて、これからさらに新しいモデルハウスが増えていくと思うと、よりワクワクする街が作られていくでしょう。
ハウこま島のように、複数の住宅会社が参加して、一つのメディアとして、集客力が上がり、それぞれの会社に送客をすることを目指しています。今後、こう言った取り組みが増えていくのではないでしょうか。
イオンハウジングの幕張新都心店になるVRの住宅展示場です。
オンライン型ではなく、その場に行く必要がありますが、身近なところに住宅展示場を実現する面白い取り組みですね。
買い物ついでに家探しもできるものですが、オンライン型に比べるとリアルな場所に行く必要があるということで、集客力は劣ります。ただ、たまたま家探しをしている人を集客するという観点ではまた違った人たちを集めることができるのかもしれません。
また、VRデバイスも用意されているので、スクリーンでぐるぐる見るのでなく、VRデバイスでその家の中にいるような体験ができることも特徴の一つです。
福岡県の上場企業、大英産業株式会社が、松の本の街づくりプロジェクトとして住宅展示場をVRでも発信しています。
新潟県での取り組みもそうですが、このような地方での取り組みは活発化しています。VRコンテンツが実写や3Dキャドで作られたものなどが組み合わさっており、区画の外観イメージもVRで見れるのは他とも違った面白い取り組みです。
VR住宅も作り込まれていて、思わずたくさんの家を見て回ってしまいますね。
新昭和グループの株式会社新昭和ウィザース神奈川での取り組みです。
多数のVRの住宅コンテンツが用意されていますが、オンライン上で見れるのは限定されています。たくさん見たい方は個別の登録、問い合わせをする必要があり、他の取り組みとはまた違った活用方法になっています。
このような見せ方がどこまで効果的かはわかりませんが、それぞれの事業者の方針で活用方法も様々ということで参考になる取り組みです。
三菱地所レジデンスの取り組みです。全国のモデルルームが数多くVR化されています。米国マターポート社のシステムを全面採用し、高品質なカメラでコストはかかりますが、とても綺麗なVRコンテンツになっています。
ブランディングへのこだわり含めて、三菱地所レジデンスらしい取り組みと言えるかと思います。
ここまで紹介したものとは違ったもVR活用の事例を最後に紹介します。
積水ハウスの取り組みですが、これは、住宅展示場に行って、そこで事業者が3Dキャドで理想のお家を設計、提案し、それをVRで顧客が確認できるようにしている取り組みです。
オンラインでの集客という観点ではなく、顧客とのミスコミュニケーションを減らして成約率をあげていく、営業効率を上げるという目的での活用方法になります。
いかがでしたでしょうか?
住宅分野でのVRの活用方法は様々で、VRの可能性や、活用のメリットへの理解が少しでも進んだら幸いです!
イオンハウジングVR展示場や積水ハウスの取り組みは、他とは違った店舗型の取り組みです。
店舗や現地に行くこと自体がコロナ問題に対応した新たな生活様式では少なくなるので、オンラインでの取り組みがますます注目されていきますが、このような取り組みにも注目ですね。
積水ハウスの取り組みは顧客へのプレゼンに特化したVRの活用方法です。実際に対面での接客での活用も住宅分野では重要ですし、このような取り組みに対応したサービスもあるので最後に紹介します。
例えばALTA for VR。新たな住宅展示場をその場で実現するものです。
VR住宅展示場と行っても、複数会社の取り組みかどうか、オンライン型かどうか、実写版かどうか、見せ方として街のような見せ方など特徴は様々でした。
ぜひ貴社がどのような事業を運営しているか、どのくらいの規模か、どんな目的でどんなサービスを活用したら良いか考える上で参考にしてみて下さい。
また、今回は住宅展示場を主に紹介しましたが、展示場で集客した後の追客や接客でもVRを上手に活用している事業者もいます。気になる方は以下の記事もご参考ください。
【住宅VR事例】MAツールとVRを組み合わせた“最強”の営業法!|山根木材ホーム
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