VRと空間データ活用のヒントが見つかる

VR空間を歩けるデバイス『Virtuix Omni』体験レポート

HTC ViveやOculus RiftなどのハイエンドVRデバイスを使えば、ルームスケール機能によってVR空間内を自分の足で歩き回ることができます。しかしそこでネックとなってくるのが部屋の狭さです。特に日本の住宅事情だと、ほとんど動き回るスペースが取れない場合も多いかと思います。

そこで登場するのがVirtuix Omniです。今回は株式会社スホさんのオフィスで実際に体験してくることができたので、使った感想についてレポートします!

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Virtuix Omniとは

Virtuix Omni本体

Virtuix Omniは、アメリカのVirtuix社が開発したVRデバイスです。Kickstarterを介したクラウドファウンディングで生まれ、ついに製品版が7月3日に発売する運びとなりました。

見た目のゴテゴテ感に反して仕組みは非常に単純です。円形のデバイス内でプレイヤーが歩くことで、360°どの方向にも自由に動き回ることができます。トレッドミルのように床が動くわけではなく、滑りやすい素材の専用シューズを履いてツルツルと足を滑らせ移動するような仕組みになっています。

Virtuix Omniの床部分

しっかりしたハーネスを取り付けるのでデバイス外に出てしまうこともなく、限られたスペース内でも十分に激しく動き回れるのが特徴のVirtuix Omni。実際の使用感はどのようなものでしょうか。

インターネットで体験会を予約!

こちらの予約ホームページから時間を指定して体験会を予約。1時間の枠を予約することができました。

スホのオフィス入り口

飯田橋駅から歩くこと約15分、体験会の会場である株式会社スホのオフィスに到着しました。スホ社は、日本のVirtuix Omni販売での正規代理店です。

Omni体験会場
体験会場には、Virtuix Omniが2台並んでいました。想像していたほどOmniは場所を取っておらず、頑張れば個人の部屋にも導入できそうだと感じました。

体験開始!

今回の体験では、2つのゲームを遊ぶことができました。どちらもVirtuix社が制作したOmni専用ゲームで、Omniを使って歩く・走ることを前提として作られています。

なお、現在はOmniで遊べるゲームはこれらのような専用タイトルのみですが、今年の4月にVirtuixとHTCが正式に提携したことが発表されています。Steamで大人気のゾンビシューター『Arizona Sunshine』がOmniに登場することも同時に発表されており、今後もOmni対応タイトルが増えていくことが期待できそうです。

①Omni Arena

Omni Arenaは、Virtuix社がe-sportsを志向して開発したHTC Vive専用タイトルです。フィールドを走り回って、空に浮かぶパワーコアを迫り来る敵から守り抜くというシンプルなルール。
スタッフの方によると、難易度が高いので社員の方と2人でプレイすることがおすすめとのこと。せっかくなのでお言葉に甘えさせて頂きました。

VR空間を走り回る筆者
写真で見るとかなりシュールですが、2人とも全力で走り回っています。

VRのアクションゲームにはかなり慣れている筆者ですが、実際にVR空間内を走り回れるとなると本当に面白い!
ステージが結構な広さなので、リスポーン時などは全力でダッシュしなければ間に合いません。段差になっているところに走りこむと2階から1階の高さに飛び降りることもできたりして、従来のVRゲームとは比べ物にならない没入感を味わえました。まさにゲームの中にいるという感覚です。

②TRAVR: Shadow Ops

Shadow Opsは、正統派シューティングのArenaとは大きく変わって不気味なホラーゲームです。Arenaとは違って、こちらは1人プレイだったので不安感が凄まじかったです。

VR空間を走り回る筆者2
写真のようなガンコントローラーで遊ぶことができたため、没入感は非常に高かったです。

自分の足で歩いて、明らかにゾンビがいるであろう部屋の中まで入らなければいけないため、恐怖感は通常のゲームと比べ物になりません。こちらのゲームはデモ版ということで5分ほどで終了でしたが、筆者はもう十分でした。本当に怖かった…。

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どんな人がOmniに興味を持っている?

VR体験終了後、スホの方にインタビューする時間があったので、どのような人たちがOmniの体験に来たのか可能な範囲で教えて頂けました。

まずは、Omniのメインターゲットであるアミューズメント施設の運営会社

Virtuix Omniは本来、比較的安価に販売されることが予定されていました(当初の価格は399ドル)。そのため、個人ゲーマーに販売されることが見込まれていたのですが、開発が進むに連れてOmniが大型化、素材も頑丈なものに変更されていきました。そのため最終的な販売価格は基本セットで98万円(税別)。そのような事情もあって、基本的にOmniは企業向けのデバイスとなっています。

ただ、個人ユーザーの購入も可能で、既に購入を検討している方もいらっしゃるそうです。

意外だったのは、そのようなゲーム関係の人以外にも様々な業界の人が体験に訪れているということ。ざっと挙げて頂いただけでも、
・消防関係者
・大学関係者
・結婚式場関係者
・医療関係者
・建築メーカー

などの方が体験に来たとのことです。消防士の訓練、結婚式場のVR体験や医療現場でのリハビリテーションなど、かなり幅広い分野での活用が検討されているそう。
すでに様々な分野での活用が進んでいるVRですが、足での移動が組み合わさることで更に可能性は広がりそうですね。
参考:VRのビジネス活用まとめ 〜 不動産、自動車、家具、研修

筆者の感想まとめ

・VR酔いはかなり軽減される

一番気になっていたのがVR酔いへの効果ですが、結論から言うと、Omniを使えば酔いはかなり軽減できます。

OnwardやGoogle Earth VRなど、自分の視点が動いてゆくVRソフトはいくつかありますが、かなり酔いが激しいです。ほとんどのゲームでは酔いを軽減するため、移動中は視界を狭めたり、コントローラーで地点を指定してワープで移動するようになっています。しかし、特に後者の移動方式ではせっかくの没入感が削がれてしまうという問題があります。

VR酔いの原因は、視点のみが動いて自分の体が動かないことです。Omniのようなデバイスを使えば自分の体の動きと同期して視界が動いていくことになるため、かなりVR酔いは軽減されます。筆者は今回20分ほどプレイしましたが全く酔うことはありませんでした。
Omniのようなデバイスを使っての移動は、VR空間内移動の究極の解なのかもしれません。

参考:VR酔い!対策と治し方をVR会社が徹底解説

・移動には慣れが必要

足を滑らせるという移動方法なので、現実世界で歩くのと全く同じような感覚で移動することはできません。ハーネスに体重をかけ、前のめりになって足をジタバタさせるという動作に慣れるまで、人によっては時間がかかるかもしれません。
ただ、一度慣れてしまえばほとんど違和感なく移動できるようになるので大きな問題ではないように思います。

・長い間遊ぶのは辛いかも?

実際に体を動かして遊ぶというプレイスタイルなので、何時間も通して遊び続けることは難しいかもしれません。
立ちっぱなしになるのはもちろんのこと、腰を固定するハーネスのため、Omniの中にいる間は腕を下げることもできません。何時間も継続してのプレイには向いていないように思います。

100万円を超える価格もあって個人での購入はなかなか難しそうですが、Omniは本当に多くの可能性を秘めたデバイスだと思います。近い将来、ゲームセンターなどで気軽に遊べるようになるのが楽しみです。

写真撮影のお願いなども含め丁寧に対応して下さったスホ社の方、今回は本当にありがとうございました!

参考リンク:
VR関連デバイスについての記事一覧
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