VRと空間データ活用のヒントが見つかる

【防災VR】消防庁のVR防災体験車! VRを使って災害に備えよう!

不動産、観光、教育から医療まで、多くの分野で活用が始まっているVRですが、防災の分野でも徐々に使われ始めています。

9月に発生した北海道胆振東部地震や、相次いで上陸した巨大台風による被害は記憶に新しいですが、それでも災害というものは、実際に発生するまで備えをおこたってしまうものです。

そこで、VRを使って災害を擬似的に体験することで、その怖さを体感的に知り、防災に役立てようという試みが多く行われています。

今回の記事では、10月10日〜12日に東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展 2018」に出展されていた東京消防庁 VR防災体験車について、筆者の体験した感想や注意事項を踏まえながら紹介します。


※スペースリーの防災研修のVRサンプル。パソコンから見る際は、画面左下のフルスクリーンボタンをクリックして閲覧をお願いします。VRを使うとこういったことも可能です。

30分で解説!事業者向けの360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5,000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。

 

 

1. 東京消防庁 VR防災体験車って?

防災1

VR BOSAIの愛称が名付けられたこのVR防災体験車は、東京消防庁が2018年度から導入したもの。

なんとこのトラックには1億3000万円が投資されており、最新の技術を駆使して作られた1台となっています。

防災2

今回は業界関係者向けのイベントだったにもかかわらず、約30分間の待ち時間があり、整理券が配布されていました。大きな注目を集めているということが見て取れますね。

防災3
巨大なトラックには8席体験用の座席が用意されていますが、このシートは映画館でもおなじみのMX4Dモーションシート。

防災4

映像に合わせて座席が上下左右に揺れ動き、更に水しぶきが出たり、エアーや香りなども表現されるという、没入感を出すのに最適のシートです。

そして、使用されているVRデバイスはサムスンのGear VR。8席用意された椅子にそれぞれVRゴーグルが置いてあり、その映像と椅子の動きがシンクロするという仕組みになっていました。

2. 体験できるコンテンツ

このトラックで体験できるコンテンツは、「地震編」「火災編」「風水害編」の3つとなっており、この日は体験できるのはこの中の「地震編」でした。

体験前に、係員の方に、それぞれのコンテンツはどのようなものなのか伺ったところ、快く教えて頂けましたのでご紹介しておきます。

火災編

防災5

火災編は、家庭で天ぷら火災が発生した状況を体験できるコンテンツとのこと。
消化器を使って火を消そうとするも失敗し、逃げるというストーリーになっているようです。

ちなみにこのコンテンツでは、MX4Dの機能を使い、熱を体感することもできるそう。「さすがに本当の火災の熱さは出ない(係員さん談)」とのことなので、ご安心下さい。

風水害編

防災6

風水害編では、水害によって道路が冠水した状況を体験できます。

車のドアを開けて逃げようとしてもドアを開けられない、という恐怖を体感できるそうです。

地震編

防災7

地震編は、大地震によって民家が倒壊し、生き埋めになるというコンテンツになっています。

今回の展示では、このコンテンツを体験することになります。

ちなみに、地震編、火災編、風水害編は全て3分程度の映像ベースのコンテンツだということです。

30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。

 

3. 体験にあたっての注意事項

防災8

コンテンツを体験する前に、体験にあたっての注意・説明を、5分ほど係員の方から受けます。

ちなみに、ここで説明された内容は、公式ページに載っている「VR防災体験車体験時の注意事項」と同じもの。

以下に該当する方は、コンテンツを体験することができません。

1 身長100cm未満の方(モーションシートに着席しての体験はできません)
2 妊娠中の方、またはその可能性のある方
3 高血圧または心臓に疾患のある方
4 頭、首、背中、足等けがをされている方、もしくは不自由な方
5 歩行や起立動作、体のバランスを取ることが難しい方
6 香りや煙、光などの刺激に弱い方、アレルギーのある方
7 乗り物に酔いやすい方、飲酒している方、または薬物の影響下にある方
8 災害映像の視聴により強い精神的ストレスを感じる方

中でも注意が必要だと思われるのは1と8です。

100cm未満の方は着席しての体験ができない点、また、ここには書いてありませんが、13歳未満は単眼ゴーグルでの体験となります。お子様連れの方は注意が必要です。

また、詳しくは後述しますが、コンテンツの内容はかなり臨場感があり怖いものとなっています。強い精神的ストレスを感じると思われる方は、避けたほうがよいでしょう。

4. 体験スタート!

Gear VRを頭にはめて、VRが始まりました。

防災9

映像ベースのコンテンツと聞かされていたので実写映像をイメージしていたのですが、実際はフルCGコンテンツでした。

部屋のキッチンに立っていると、スマホとテレビが同時に緊急地震速報の音を鳴らし始め、部屋が揺れ始めます。
周りの家具が倒れ、食器類も床に飛び散り、部屋はあっという間にぐちゃぐちゃになってしまいました。

その後も地震速報の音が立て続けに鳴り、計3回の大地震を体験することに。最終的に家が倒壊し生き埋めになりますが、すんでのところで救出されるところでムービーは終了。

「あなたや、あなたの大切な人の命を、守るための方法を知っていますか?」というメッセージが浮かび上がって体験は終了します。

防災10

体験の感想ですが、シンプルに怖いコンテンツでした。

日本で暮らしていれば、過去に何回かは大きな地震を体験した人が多いかと思います。3.11の際、筆者は関東にいましたが、それでも、繰り返し鳴り響く緊急地震速報の音、日本に漂う明らかに異質な雰囲気を、強烈に記憶しています。

没入感のあるVR体験によってその恐怖感が蘇ってきた、という印象で、かなり強烈な体験でした。過去に大きな地震を経験してトラウマがあるような人には、絶対におすすめできません

防災11

また、VRのコンテンツとしての完成度も非常に高いと思いました。筆者はいくつもハイエンド向けのVRゲームを遊んでいますが、それらに比べても没入感はダントツです。

視点の動きや揺れがかなりあるコンテンツではありましたが、視点誘導がうまかったためか、VR酔いしやすい筆者でも最後まで酔うことがありませんでした。3分間という体験時間も絶妙なものなのかもしれません。

消防庁のVRコンテンツに対する本気度が見て取れました。

5. まとめ

以上のようなコンテンツが体験できるVR BOSAI。防災について考えるきっかけとして、非常に効果があるコンテンツだと感じます。

恥ずかしながら、筆者は以前体験した地震体験車では、アトラクション感覚で乗って、「あー怖かった」という感想だけを持って終わっていました。
しかし今回のVR地震体験は、その怖さと没入感ゆえか、体験後に残るインパクトが格段に大きかったのです。

実際、このコンテンツ内では食器が落ちてきて割れ、床に飛び散るということが再現されていたのですが、筆者は家に帰ってからキッチンの物の配置を見直しました。

防災12

VR BOSAIは各地のイベントや消防署に出張して展示を行っています(今後の主な予定はこちらから確認できます)。近くで体験できる機会があったら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

VRの力で皆の意識が変わり、少しでも災害が減らせるようになったらいいですね!

参考:
東京消防庁VR防災体験車 公式ページ

SNSでフォローする