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VR技術を使った採用活動とは?第一生命グループ・フェンリル株式会社の採用事例からメリットを解説

VR 採用

会議といったコミュニケーションツールのほかに、研修といった教育目的として導入されることが多いVR技術。実は採用活動でも徐々に導入されつつあります。

VR技術を使った採用活動は従来の採用方法で抱えていた問題の解決に期待できるほか、採用以外での場面でも活躍が期待されています。ここではVR技術を使った採用活動の現状や、実際に人事に導入している企業事例を紹介していきます。

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【目次】

VRを用いた採用とは

就職活動をする場合は、合同説明会に参加をすることが多いですが、ブースに赴いて担当者から説明を受ける・企業紹介のPVを見るだけでは、その企業の良さがなかなか伝わらないことがあります。

そこで、VR技術を投入することにより、口頭や映像だけでは伝わらない部分まで臨場感をもって見てもらえるのが特徴です。会社の雰囲気や仕事内容、そしてそこで働く人の様子などもその場にいるかのように体験できるのがVRの良さといえるでしょう。

VRを用いた採用の特徴①ARとの違い

VRと同様に使われることの多い「AR」ですが、これは「Argumented Reality」の略のことで日本語では「拡張現実」といいます。現実の世界を拡張させた情報を表示する技術のことを指します。

例として一番連想しやすいのはPokemon Goでしょう。AR機能を使うと、スマホを通してカメラを見ると、そこにポケモンがいるかのように表示されます。

現実の世界(カメラを通さない世界)にスマホの画面を通すことでポケモンという拡張情報を表示させることができるわけです。一方VRは「仮想現実」と訳され、バーチャルな空間に作られた世界にユーザー側が飛び込む(アクセスする)といった意味でARと区別されます。

VRを用いた採用の特徴②企業内バーチャルツアー

説明会や面接では伝わりきれない事から、入社した後に「思っていた仕事内容ではない」「想像していた雰囲気とは違う」という理由ですぐに退職する新人も少なくありません。そこでこのようなミスマッチを防ぐためにもVR技術は活躍します。

一般的なものは「企業内バーチャルツアー」です。オフィス内だけでなく工場といった様々な施設内部の仮想空間を作ることで、入社希望者たちは雰囲気や環境を疑似的に体験できる仕組みです。

ただ映像を見るだけとは異なり、その場にいるかのような臨場感を味わえる「没入感」が特徴で、よりリアルな体験が場所を選ばずにできます。

VRを用いた採用の特徴③実戦的なテスト

VR技術は人事場面だけでなくスキルテストにも導入されることが多いです。業務プロセスをVRで再現したテストを選考時に利用することです。なお海外では選考プロセスの1つとしてすでにVRテストを導入しているところもあります。

VRを採用活動に導入するメリット

採用活動に際して、VR技術を導入することは従来の方法よりも多くの効果をもたらすことが分かっています。ここでは項目ごとにそのメリットを解説していきます。

VRを採用活動に導入するメリット①ミスマッチの減少が期待できる

「入社してみたら説明会とは違っていた」「雰囲気が想像とは離れている」ということはよくあることです。入社するまでに1度も会社訪問をしたことがない・職場体験をした経験がないという場合に起きがちです。

特に工場や建設業界では、このミスマッチが起きやすいもの。天候や季節、イレギュラーな出来事など、毎日状況が異なります。実際に見学に来ても、そういった日々の状況の移り変わりを体感してもらうことは難しく、また、見学時の安全管理の難しさ・現場までの距離の遠さといった問題から、ありのままを見せることが難しいことが少なくありません。

しかしVRを使うことによって様々な天候や状況の再現を安全かつ臨場感をもって再現できるので、よりミスマッチを起こりにくくできます。

VRを採用活動に導入するメリット②リアルさが伝えられる

VR技術の最大の特徴ともいえるのが、「リアルさ」にあります。動画や画像では一面的なものしか映し出されませんが、VRの場合は360度見渡せる空間も再現可能です。

これにより、オフィスや工場の様子がその場にいるかのように体験できるのが魅力です。そのため希望者にそこで働くイメージをより鮮明に届けられます。

採用活動にVRを導入するメリット③時間や場所に関係なくオフィス・工場を見てもらえる

実際にオフィスや工場・現場に赴いてもらうオフィスツアーは時間や担当者のスケジュールから、いつでも可能というわけではありません。しかしバーチャルツアーであれば、時間・場所の制限はなくオフィス・工場の様子を自由に見学できます。また、希望者の好きなタイミングでオフィス見学が行えるのも良い点でしょう。

採用活動にVRを導入するメリット④採用場面以外での活躍も可能

VRは採用活動以外の場面でも活躍が期待できます。会社の公式サイトに埋め込むことで、いつでも・誰でも映像が見られるのが特徴です。またYouTubeといった動画サイトに投稿すれば、多くの人の目にも触れるので効果的なPR活動が行えます。

VRを採用に導入するために必要なコスト

画期的な採用活動が期待できるVRですが、導入する際にはいくつかの費用が発生することを忘れてはいけません。ここではVRを導入するにあたって必要なコストを紹介していきます。費用面の課題は避けては通れない部分なので、導入を検討する際にぜひ参考にしてください。

VRを用いた採用に必要なコスト①撮影費

主にVRコンテンツの元となる360度映像を撮影する際に発生するコストです。一般向けにも発売されている「GoPro」といったアクションカメラを使うことが多いです。360度、全体の映像を収めるためには複数台のカメラが必要になります。さらに技術的な手間も考えると通常の動画撮影よりもコストはかかります。

相場としては1分~3分程度の動画に対して5~10万円程度、多くのアクションカメラやドローンといった機材を使う場合は15~30万円前後と考えておきましょう。

VRを用いた採用に必要なコスト②編集費

撮影した映像を編集して、1つの動画として編集する費用も当然発生します。特に複数台のカメラを使って撮影をした場合は映像同士のつなぎ目が生まれてしまうので、それをいかに違和感なく処理するかに一番の手間がかかります。

そのほか視聴者に注目してもらえるサムネイルやポップアップ、さらに動画説明のテロップを入れるといった作業も必要です。相場としては5~25万円程度となっています。

VRを用いた採用に必要なコスト③3DCGの制作費 

ゲームやアニメーションを入れる場合は、撮影は必要ないですが背景・キャラクターの作成・オブジェクトの用意といった3DCGに必要な素材の制作が必要になります。

制作会社・仕上がりによっても開きがありますが、大体3分の動画を作成するのに40万円程度必要になることも。さらにこだわりを持つと追加費用などが発生します。

VRを用いた採用に必要なコスト④音響・ナレーション費

編集済みの動画に音響・ナレーションを入れる場合は5~10万円程度の費用が発生することが多いです。しかし、すでに公開されている無料のWeb音源などを使うことでこのコストは抑えられます。

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VRを採用活動に導入する際の注意点と改善方法

VRを導入した採用活動は、様々な効果・メリットが期待できますが、導入あたっていくつかの注意点があります。ここでは注意点とその改善方法を紹介していきます。

VRを用いた採用の注意点①通信トラブル・機器の問題

離れた場所で行う採用活動は、インターネットを使うことが前提になってしまいます。そのため、インターネットの回線が不調になったり通信トラブルが起きてしまったりした場合は面接や説明・テストが中断されてしまう可能性があります。

この状況の改善・対策には予行練習がおすすめです。事前に予行練習をしておくことによって、どのくらい回線が重くなるのか、何か通信トラブルが起こる要因はないかをチェックすることもできます。また、通信トラブルなどに備えるために予備の通信端末を用意することもしましょう。

VRを用いた採用の注意点②情報に限りがある

VRによる社内見学は社内の様子を詳しく見ることができるというメリットはありますが、一方で、全ての情報を伝えられるわけではないことに注意しましょう。雰囲気であったり、オフィスの立地であったりという直接行かないとわからないことも多くあります。希望者には直接オフィスを見る機会を設けるなどといった形でミスマッチをより防ぐ機会を作ることが必要です。

また、面接についてもVRだけで行ってしまうとアバターを介して相手を見るため、相手がどう反応していたかなどの細かな情報を捉えきることがどうしても難しくなってしまいます。VR以外にもオンライン面接を実施するといった複合的な面接の機会を増やすことがおすすめです。

VRを採用方法に活用した企業事例

ここでは実際にVR技術を導入して採用活動を行っている企業事例を紹介します。VRのメリットを活かしつつ、従来の方法よりも効果的な採用を行っています。

VRを採用に活用した事例①スーパー「ライフコーポレーション」

参考:大手スーパーの採用にVR、職場理解スムーズに

大手スーパー「ライフコーポレーション」では仕事内容をより短時間かつ分かりやすく伝える手段としてVRを採用しました。

入社後のミスマッチを防ぐことも目的としており、物流センター・配送技術、売り場の陳列や加工といった部分をツアー形式で動画にしています。

大手スーパーの採用にVR、職場理解スムーズに

VR技術を採用活動に導入することで、合同説明会の動員数が増加傾向になったという結果が得られました。また、多人数で同時にコンテンツを再生可能なので、回転率が課題となっている合同説明会での導入にも適しています。

従来の動画や紙媒体による広報よりも、VR技術を導入することで、短時間でより多くの情報が伝えられることにつながりました。

参考:https://www.excite.co.jp/news/article/MoguraVR_lifecorp-vr/

VRを採用に活用した事例②第一生命グループ

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000013447.html

第一生命グループは新卒者向けの大規模合同説明会にVRを導入しました。バーチャル空間で行われるイベントは、参加人数5,000人を想定したもので作られました。

セミナールームや座談会ルームなどを設置し、役員・人事部長などが講演・座談会などを開催しました。希望者も企業側もアバターを使ってコミュニケーションを取るので、様々な人と対話しやすいのが特徴です。

また、スマホ・パソコンどちらからでもアクセスできるよ、参加ハードルが高くないように工夫されています。

アバターはおよそ50種類の中から選べて、豊富なエモーションも用意されているので参加者同士のより自由度の高いコミュニケーションがとれるようになっています。

参考:https://www.dai-ichi-saiyo.jp/2022/pr/internship/dl_vrfesta/

VRを採用に活用した事例③アイデアカベウチ

カベウチイベント画面

参考:新たな採用活動 オンラインバーチャル合同会社説明会を開催

アイデアカベウチは、新型コロナウィルスの影響で実施が困難になった合同説明会をバーチャル空間で行いました。

参考:第2回オンラインバーチャル合同会社説明会

従来型のオンライン説明会の場合は企業側が一方的に説明をするといった流れなので、双方のコミュニケーションを十分に取ることが難しい課題をもっていました。

しかしVRを導入することによって双方ゆっくりと話せるだけでなく、合同説明会にありがちな各企業間においての面接時間のバッティングが生じないという利点を獲得。参加企業も随時募集しているので、VR導入を検討しているならぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

VRを採用に活用した事例④株式会社トモノカイ

参考:https://youtu.be/KNEGloxgvTA

「t-news」という学生対象のメディアを運営している株式会社トモノカイは、コンテンツの1つとして「インターンVR体験」を制作しています。インターン生となって、仕事を体験できるというのが他の企業にない試みです。

インターン生のMTG

参考:https://saiyo-ac.jp/archives/1596

パソコンを開くと社内共有するミーティングが開始されます。画像からも分かるように、株式会社トモノカイは気軽にコミュニケーションがとりやすい雰囲気であることが分かります。

新人指導

そのほか、インターン生が直接業務内容を教えてもらっている場面も見られます。実際に入社した後の雰囲気も実体験できるような感覚になるため、会社のイメージをより鮮明に持ってもらえることが期待できます。

VRを採用に活用した事例⑤フェンリル株式会社

参考:公式サイト

スマホやパソコンアプリの開発を手掛けるフェンリル株式会社では、適正調査を目的とした「0次選考」を実施しました。VRゲームを使ったコンテンツとなっており、自宅や出先でも気軽にスマホで体験できます。

コンテンツ内容はなぞ解きをしながら脱出するゲームとなっていて、全部で3ステージ用意されています。見事クリアすると、クリア証明書をダウンロードできるようになっています。

この証明書を持参すると選考に際して「有利になるかもしれない」という設定になっており、企業を知ってもらうといった観点で面白い取り組みとなっています。

VRを採用に活用した事例⑥よつば保育園

参考:https://youtu.be/weZZ1EtOLzo

神奈川県に3つの保育園を運営する「よつば保育園」は360度の見渡せるVR園見学を実施しています。動画内では施設の内部や子供たちが過ごす様子が見られます。さらに保育理念についての解説も入ってるので、園の情報を知りた人にも満足できる内容となっています。

さらに採用情報・職員インタビューリンクも掲載されているので、気になった情報はその場からすぐにアクセスできるのも便利です。

VRを採用に活用した事例⑦EY新日本有限責任監査法人

参考:仕事のパフォーマンス、コミュニケーション、柔軟な働き方を徹底的に追求したオフィス

コンサルティングサービスを提供しているEY新日本有限責任監査法人ではVRでオフィスツアー動画を公開しています。動画の撮影にはドローンを用いており、オフィス内の様子が一望できるようになっています。

また動画内では実際にオフィス内を案内してもらっているかのような作りになっていて、それぞれのスペースごとに説明が受けられるので、リアルなイメージを持ちやすいのが特徴です。動画内では360度ぐるりと見渡せる作りになっているので、社内の雰囲気をつかむのにも最適な環境となっています。

まとめ

VR技術を導入した採用活動について、そのメリットと実際に採用している企業事例を紹介しました。VR技術を使うと、従来の動画や資料では伝えきれなかった企業の良さや強み、そして社内の雰囲気もより鮮明にリアルに伝えられるのが強みです。

入社後のミスマッチは企業全体における課題の1つでもあるので、ぜひ改善方法の一環としてVRを採用してみてはいかがでしょうか。

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