VRと空間データ活用のヒントが見つかる

VRオフィスの活用事例5選!メリットは?導入の際に注意すべきことまとめ

VR オフィス

様々な働き方がある中で、昨今はVRオフィスを導入している会社も増えつつあります。VRオフィスでの出社ができれば新型コロナウィルスのリスクを軽減することにも繋がると考えられた背景から、普及しつつあります。

ここではVRオフィスの特徴やメリット、そして導入する際の注意点などを解説するとともに、実際にVRオフィスを導入している企業・団体の事例を紹介していきます。

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【目次】

VRオフィスとは

VRとは、「Virtual Reality」の略で「仮想現実」と訳されることが多いです。VRといえば仮想空間を使ったチャットやゲームといった娯楽分野での活用が目立ちますが、現在はビジネスの世界でも徐々に活用され始めています。

ここでは仮想空間として作られたオフィスに自宅などから社員がアクセスをして、同じ空間で働くような環境を作るVRオフィスを紹介します。VRオフィスの概要説明と、リモートワークとの違いなどを解説していきます。

VRオフィスの特徴①リモートワークとの違い

そもそもVRオフィス自体がリモートワークのジャンルの1つに含まれています。リモートワークは「テレワーク」ともいわれており、自宅にいる社員が在宅のままパソコンやタブレット・スマホなどを使って仕事をすることを指します。

通常のリモートワークは、同じ空間で働くことができないものですが、VRオフィスであればVRを活用することで、あたかも同じ空間で一緒に働いているような感覚で仕事ができます。

VRオフィスの特徴②基本的な機能

仮想空間で自分や他の社員がアクションをしたり、会話をしたりできるので、打ち合わせ・雑談などがまるで実際にその場にいるかのようにできるのが主な機能です。

サービスによって異なる点はありますが、仮想空間で動かす自分のキャラクター(アバター)を作って、他のアバターとコミュニケーションを取ることが可能です。

また、ホワイトボードやメモ機能といった業務上に必要な機能を利用できるサービスを使えば、資料作成・プレゼンなどもしやすくなるでしょう。

VRオフィスの特徴③リアリティのある職場に近づく

アバターを使ってコミュニケーションを行うことで、リアリティが増すので、その場にいなくても雰囲気や臨場感を保ったまま業務が遂行できるのが特徴です。

単なるリモートワークでは、一緒に働いている感が薄れ、仲間意識が薄れていったり、会社へのロイヤリティが下がったりした結果、退職につながることが多いもの。VRオフィスであれば、同じ空間で働いている感を得られるため、従業員の仲間意識や会社へのロイヤリティを下げないようにリモートワークを取り入れることが可能になります。

VRオフィスの特徴④ビジネスチャンスの拡大・生産性アップが期待できる

VRオフィスを活用することで生産性の向上とビジネスチャンスの拡大が狙えます。

打ち合わせをする場合、仮想空間に集まるだけで済むので、リモートワークでありがちな一々確認をとって、電話をするといった手間が省けます。また、実際のオフィスでありがちな、急遽打ち合わせが必要になったが、スペースがなくて探す時間を取られてしまうといった事態についてもVRオフィスなら関係ありません。

加えて、日本にいながらにして、アメリカやヨーロッパ・アジアなど世界中にいる優秀な人材と同じ仮想空間で働くといった活用もできます。場所を選ばずに、一緒の空間で仕事ができるというVRオフィスならではの環境によって、国内のみならず海外にいる人材の発掘・雇用にもつなげやすいです。

VRオフィスのメリット

ビジネスシーンでも徐々に導入されつつあるVRオフィスには新しい働き方としていくつものメリットがあります。もしVRオフィス導入を検討しているのであれば、これまでの働き方を変える機会ともなるのでぜひ参考にしてください。

VRオフィスのメリット①資料のデータ保存ができる

VRオフィス内で作成された資料や会議の議事録、そして社員同士の会話なども全てデータ化して保存することができることがVRオフィスの最大の特徴です。従来の働き方では社員ごとが独自に作成した資料やメモなどをまとめたり、ましてや会話を把握したりすることはできません。

VRオフィスで行ったやり取りは全てデータとして残すことができるので、後で検索をして探すことも簡単になるだけでなく、メモをするといった手間も必要なくなります。

VRオフィスのメリット②国境がない

ビジネスシーンでは、国内外関係なくやり取りする事が多いもの。VRオフィスを構築することで、国境に関係なく同じ空間に集まることが可能になります。また時差がある場合でも、VRオフィスでメモやメッセージを残しておけば、後で社員が出勤した時に見てもらうこともできるので非常に便利です。

VRオフィスのメリット③場所の制限がない

VRオフィスを導入することは国境だけでなく場所の制限もなくなることを意味します。そのため、オフィスをどの場所に設けるかといった物理的な問題もクリアできます。交通の便や賃料を気にすることのない、全員が通勤しやすいオフィス、それがVRオフィスです。

これまでのオフィスであれば、交通の便の良いところにすれば賃料が高くなり、賃料の安いところにすれば交通の便が悪くなりと両方を取ることは困難でした。しかし、場所を気にしないで活用できるVRオフィスはこれらの問題を解決することが可能になります。

VRオフィスのメリット④リアルなコミュニケーションがとれる

リモートワークというと、一人で黙々と仕事をこなすと思われがちですが、VRオフィスであれば、同じ空間で社員が同時にコミュニケーションを取りながら業務が行えます。

あたかも目の前に社員がいるかのような環境で仕事ができるので、リモートワークよりもさらにリアルなコミュニケーションがとれるのがメリットでしょう。

VRオフィスのデメリット

コミュニケーション・コスト面・場所といった様々な点でメリットの多いVRオフィスですが、導入する際にいくつか注意する点があります。事前に知っておくと対策も講じられるので、ぜひ参考にしてください。

VRオフィスのデメリット①操作に慣れる時間・手間が必要

VRオフィスで使うツールは、基本的には感覚的に使えるものが多いです。しかし他のITツールと異なる点もあるため、そもそもVR技術自体を使ったことがない人にとっては、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。

もしVRオフィスを導入する場合には、慣れるまでの準備期間を設けるたり、VRオフィスの研修を行ったりしましょう。

VRオフィスのデメリット②設備の準備が必要

VRオフィスを導入するためには、当然ですがインターネット回線、VRデバイスといった設備や環境を用意する必要があります。

特にVR技術は3Dデータを多く扱います。通常の資料データとは異なり、データ容量が膨大になるのでマシンスペックなども考慮しなければなりません。

特に社員の所持しているパソコンやタブレットなどの性能が高くない場合、VRオフィスにアクセスする・コミュニケーションを取るこという事自体が難しいかもしれません。

対策としては、スペックの高いPCや専用のVR機器を貸与することをおすすめします。

VRオフィスの活用事例

ここでは実際にVRオフィスを導入している企業・団体を紹介していきます。

VRオフィスの活用事例①KDDI

参考:実在する施設をバーチャル空間に完全再現 オリジナル空間構築で見えた「バーチャル」ならではの価値

KDDIが運営するビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」で導入されたVRオフィスは、東京・虎ノ門にあるDIGITAL GATEを完全に再現したものです。

参考:https://neutrans.space/casestudy/1019/

上の画像は、東京・虎ノ門にある実在するDIGITAL GATEの様子です。

こちらは、DIGITAL GATEを再現したVRオフィスです。空間の再現はもちろんのこと、業務には直接関係はないですが、コーヒーメーカーや卓球台・メンバー紹介ボードといった小物まで用意されています。

少しでも実際のオフィスに近づけることで、リラックスをしながら企画や開発を行ってもらうという狙いがあります。社員の要望を取り入れた小物をVR空間に配置することで、より実際のオフィスに近い環境を作り出しています。

参考:https://neutrans.space/casestudy/1019/

元々、DIGITAL GATEは「体験ツアー」「ワークショップ」「スクラム開発」の3段階に分かれていました。

新型コロナウィルスの影響と緊急事態宣言の発令に伴ってこれらの段階をすべてオンライン上で行えるようになりました。社員は「VR HMD」という専用の機器を被ってVRオフィスにアクセスします。

自宅からVRオフィスに出社することができるようになったことから、東京本社の社員のみならず大阪にいるメンバーも同じ空間内でコミュニケーションがとれるのが特徴です。

社員同士の会話だけでなく、お客様向けの資料提示でも有効性が発揮できているとのこと。画面共有のみだけよりもリアリティがあるのが特徴です。

またお客様側もバーチャル空間で直接音声を届けられるので、インタラクティブ性の高さも好評の1つの理由となっています。生産性の向上としては「付箋機能」を設けているのもポイントです。

社員やお客様側の思考を視覚上に表すことが用意になる機能となっています。今後は、実際のオフィスに近づけるだけでなく、バーチャル空間ならではの付加価値を追加していくことを目標としているとのことです。

VRオフィスの活用事例②日本総研

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環としてワークショップにVRを導入しているのが日本総研です。ワークショップとVR技術の相性の良さに目を付けて、立ち上がった計画です。

VRならではの「没入感」を出すための演出にこだわり、「資料の共有」と「同空間」の機能を有しています。ワークショップでは、事業の成長とSDGsの達成を両立するための取り組みとして職場内における課題の理解を社員にも共有させることにも活用されています。

参考:https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=36417

VRオフィスの活用事例③NECネッツエスアイ

新型コロナウィルスの影響からテレワークやリモートワークを導入した結果、「コミュニケーションやマネジメントの質の低下」「企業への帰属意識の低下」といった課題が生じていたNECネッツエスアイ。これらの課題の解決を目的としてVFオフィスを導入した事例です。

バーチャルオフィス内の会議室でのインタビューの様子

参考:コミュニケーションを一歩先に推進 自社実践の社風を活かし、バーチャルオフィスを活用した新たな働き方に挑戦

NECネッツエスアイは日常業務にフィットするVRオフィスを意識しており、社員の働きやすさを考えた空間を再現しています。

VRオフィスを導入することで、没入感が得られてZOOMといったコミュニケーションツールでは話しかけにくかったケースが解決しました。よりリアリティの再現を目的としてロッカーを設置したことも効果があったとのこと。

オフィスらしさを感じるシンボルのロッカー

オフィスらしさを感じさせるロッカーは実際に開け閉めできるわけではないので利用はできません。使えないものですが、社員たちにとって思い入れのあるものが再現されていることでより「日常」を感じさせることに役立ちました。

ロッカーの設置からも分かるようにNECネッツエスアイでは、VRオフィスを特別なものから日常の一部として感じてもらうことを一つのテーマとしています。そのため、最終的には電話・メール・ZOOMといったコミュニケーション方法をバーチャル内で統一することを目標としています。

VRオフィスの活用事例④株式会社ソニックガーデン

株式会社ソニックガーデンは新型コロナウィルスの影響を受けるずっと前の2011年からリモートワークを導入している企業です。

2008年頃からペーパーレスへの取り組みを始め、クラウド化・テレビ会議の導入と着々と進めてきました。そして2014年頃からVRオフィスを導入し、従来のチャットツールで抱えていた課題の解決につながりました。

株式会社ソニックガーデンは「情報を伝えない時も常に一緒に働いている」環境づくりを目指していました。VRオフィスはそうしたニーズをかなえるために最も適した技術であるといえます。

参考:https://kuranuki.sonicgarden.jp/2018/05/steptoremote.html

ついに2016年には、物理オフィスを完全に撤廃しバーチャル上での勤務のみに完全移行しました。株式会社ソニックガーデンは社員同士のコミュニケーションを大切にしており、定期的に「オンライン飲み会」を実施しています。

出入りのタイミングが自由なのもバーチャルな空間だからこそできる特徴といえるでしょう。

参考:https://ws.zxy.work/case/498/

自分たちの企業コンセプトや目標に応じてVRオフィスやツールを活用していくという良い事例です。

VRオフィスの活用事例⑤HIKKY

VRの企画会社であるHIKKYは、VRオフィスを導入しており、社員の9割がVR出社をしています。遠隔にいる社員、「VRクリエイター」がVRオフィスに集まって開発中の作品の「展示即売会」を開くのがユニークです。

各自が作品をチェックし進捗具合などを見ていきます。社員が一同にVRオフィスに会するので、細かなニュアンスも伝わりやすいという点があります。

社員の中には副業や業務委託として業務している人が多く、中には介護や子育て・身体的な障害を持っているためオフィスに行くことが難しい人など様々な背景の人も一緒に働いています。

場所の制限がないことから、色々な事情を持った人も一緒に働けるという環境が用意できるのもVRオフィスを活用している企業ならではといえます。

VRオフィスの導入当初は、会議の場でマイクとスピーカーを使うため同時に複数人が話すと聞き取れなくなってしまう問題がありました。しかし、続けていくほどに「発言は最後まで聞く」という習慣がつくことによって解決しました。その他会議の要点は事前に共有しておくことで会議時間を伸ばさない・意思決定に曖昧さを残さないといった習慣につながりました。

VRオフィスを導入した当初は様々な課題が生じることもありますが、工夫をすることによって解決していくことが可能です。

参考:アバターがオフィスに出勤、9割が遠隔で働く企業に生まれた文化

VRオフィスの今後と展望

VRオフィスの導入企業は今後も増えていくことが予想されます。新型コロナウィルスの影響の懸念だけでなく、新しい働き方の1つとしてVRオフィスのメリットは多いことが分かっているからです。

もちろん、VRオフィスは多種多様な働き方を模索していく上での手段の一つではありますが、利便性の高さや導入実績の多さから今後徐々に広まっていくことでしょう。

技術面・慣れるまでの手間やコストといったVRオフィスならではの課題を解決していく必要はありますが、今後のVRオフィスの発展が期待できます。

まとめ

VRの特徴やメリット、そして実際の例などを紹介しました。距離や時間の問題、そしてコスト面の解決も期待できるVRオフィスは、今後も活用していく企業が増えていくことが予想されます。

新しい働き方を模索している・効率化を挙げたい場合にもVRオフィスはさらなる可能性を秘めているといえるでしょう。

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