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VR技術が活用される自動車業界の事例5選!これからのドライブはどう変わる?

VR 自動車

VRは「Virtual Reality」の略で、「仮想現実」と日本語では訳されます。VR技術を使うことで現実には存在しないけど、あたかも目の前に存在しているかのような体験(疑似体験)ができるというのが特徴です。

VR技術はゲームやコミュニケーションの場だけでなく、ビジネスシーンでの活用も増えつつあります。ここではVR技術が自動車やドライブ技術に活用されている企業事例をご紹介します。

不動産、小売店、展示会、研修など、様々な分野のVR活用事例を1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「ビジネスのVR活用!ニューノーマル時代への対応事例」よりお願いします。

 

【目次】

VR技術が自動車業界で活用されているシーン

VRやAR技術は自動車業界で積極的に活用されています。ここではどんなシーンでVR技術が導入されているのかを具体的に紹介していきましょう。

VRの自動車業界での活用①自動車製造業

自動車製造の段階からVR技術は活用されています。実際に自動車を製造する前の段階で、部品の使用可否の判断に利用されるほか、部品を組み立てる構造の確認も行えるので、工程の効率化・ロスカット・製品開発の効率化などが期待できます。

その他にも、開発やデザインの段階でもVR技術の活用は大いに期待できます。これまでであれば、外観や車内デザインだけを考え、その後、運転のしやすさや乗り心地を検討するといったように段階が分かれていました。しかし、VR技術を用いることで、外観・車内デザインの構想の際に運転のしやすさ・乗り心地といった面も合わせて確認することができます。

VR技術による仮想空間を生み出すことで、実際に現物を作る前に環境をリアルに再現できるので、意見の乖離が起きやすい「デザイナー」と「エンジニア」の情報共有が行えるというメリットもあります。

加えて、従来のようにモデル車を予め作る必要がないので、製造コスト・時間の大幅な削減にもつながります。自動車製造業界でVR技術を取り入れることは時間的・コスト的な大幅削減につながり、効率アップにも寄与すると考えられています。

VRの自動車業界での活用②自動車販売・ディーラー

自動車販売・ディーラーでVRが活用されるシーンは、「バーチャルショールーム」の開設などが代表的です。CGによる再現ではなく、360度全方位同時撮影が可能な映像をVRゴーグルを使って鑑賞することで、実際の車を目の前で見ているような体験が可能になります。パソコンやタブレットから見える写真や画像では、実物のイメージがしにくいですが、VR技術を用いれば車両の大きさ・内装のイメージがしやすくなります。

車体のカラーやオプションも設定ですぐに変更できるので、オプションパーツを付けた場合の見た目の変化などもその場ですぐに確認できます。さらに従来の紙媒介によるカタログをデジタルに移行することで、1社あたり数十トン規模で資源の削減が可能になると予想されています。顧客にとってだけではなく、環境の面でもメリットが豊富です。

VRの自動車業界での活用③交通安全関連(危険運転体験)

自動車業界は安全性が一つの課題となっている業界。中でも交通安全に関する課題も、VR技術の導入で解決しようとしています。2019年には大分県警察公式チャンネルから事故体験のVR動画が配信されました。

参考:VR交通安全動画 – 大分県警察本部

車同士の衝突事故・横断歩道での人と車の接触事故、自転車事故といったあらゆる事故シーンを搭載した映像を撮影し、VRゴーグルなどで視聴出来るようになっています。単なるCG再現ではなく奥行や距離感などもしっかりと感じられる作りとなっているので、教育として大きな役割を果たすと考えられています。

VRの自動車業界での活用④先進運転支援システム・ボディデザイン作業

仮想空間の高速道路を走る「Taycan」(出典:Porsche Engineering)

ポルシェは、ADAS開発(先進運転支援システム)やボディの設計にVR技術を投入しています。実物の自動車を実際に走らせて動作確認をすると、テストドライバーに様々な条件の指示を何度も実行させる必要があります。

動作確認を実際にすることは時間も手間もかかるだけでなく、ドライバーへの負荷も大きいです。そこでVR技術によるゲームエンジンで再現。シナリオを用意するだけで様々な条件の実験を何度も繰り返せるようにしました。

さらにボディデザインの場合もVRのほかにAR(拡張現実)とCADを組み合わせることで試作回数の削減にもつながり開発期間の短縮、ひいては開発コスト全体の削減も可能となります。また、顧客に実際のイメージをより鮮明に伝えることができるとして注目されています。

VRを採用した自動車業界の事例

ここではVR技術を採用した自動車業界の実例を企業ごとに紹介していきます。

VRを自動車業界で採用した事例①パナソニック

パナソニックグループのオートモーティブ社が開発した検証用シミュレーターは、VRヘッドセットを使ってHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を検証が可能となっています。

従来では紙の仕様書・デモンストレーション(PoC)を活用した検証は修正の際に費用や時間といったコストが発生していました。しかしVR技術を採用することによって、これらの課題を解決し、開発の効率化を可能とします。

開発したシミュレーターは2つで、1つはユーザーインターフェース(UI)の開発です。VRゴーグルを使った仮想空間の中で実際の操作をしているような検証が行えるため、操縦席の操作表示の仕様策定がより効率的になります。

もう1つはユーザーシーン(UX)のシミュレーションです。こちらはゴーグルを使わないで行われます。横2面・床1面のスクリーンに仮想空間を投影させることで、車への乗り込み・降車までの一連の動作を動きながら検証できるのが特徴です。

参考:VRで自動車開発を効率化、パナソニックグループが活用

2つのVRシミュレーターを活用することで、搭載機器の開発をカーメーカーに提案していくことができるようになります。これらのシミュレーターは東京モーターショーでも展示が行われました。

VRを自動車業界で採用した事例②フォード

フォードモーターが3DのVRツールを世界規模で導入し空間に線を描いて車両をデザイン

フォードは2019年に車両のデザインにVR技術を投入し、それを世界中のデザイナーが同じ仮想空間で作業ができるようにすると発表しました。従来の車両デザインにはスケッチをはじめとして2Dのイラスト作成、レンダリング評価の後にデータ化、そして最終的に3Dモデルの制作といった工程が必要となります。

参考:https://www.moguravr.com/ford-vr-meeting/

最終的にデザイン評価にいたるまでには数週間の時間が必要ですが、VR技術によるデザインを行うことで作業効率アップが期待できます。デザイナーがVRゴーグルを装着した状態で空間の中でデザインを行うことができるようになり、場所を選ばずに世界中にいるデザイナーが同じ仮想空間で作業を行えるのは非常に画期的です。

VRを自動車業界で採用した事例③アウディ

参考:アウディ、全世界1,000店舗で「VRショールーム」本格展開

アウディは自動車メーカーの中でもVR技術をいち早く取り入れた企業の1つで、2016年に開発と試験的な運用を公表しました。自社のディラー内に「VRショールーム」を設けることで、顧客に販売車種のチェックといったサービスを提供しています。

顧客の希望するカラー・車種・オプションなどもVR技術によって柔軟に変更できるのが特徴です。車を置く環境もユニークで、通常の道路のほかに月面やパリの市街地・観光地といった場所を背景に投影することも可能です。

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参考:https://www.gizmodo.jp/2020/05/audi-etron-vm4.html

様々な場所・条件でアウディが「映える」のかを見られる狙いがあります。エクステリア・ホイールの形状・座席からの見え方といった様々な面において没入感があります。3Dモデルにありがちなのっぺりとした質感ではなく、まるで実物のような滑らかさがしっかりと再現されています。

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参考:https://www.gizmodo.jp/2020/05/audi-etron-vm4.html

もちろん内部の作り込みも素晴らしくハンドルの立体感はもちろんのこと、タッチディスプレイの並ぶインターフェースはアウディ定番である「バーチャルコックピット」もしっかりと再現されています。

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参考:https://www.gizmodo.jp/2020/05/audi-etron-vm4.html

仮想空間で試乗に近い感覚での体験ができるので、VR試乗で確認をしてから実車試乗をするといった活用ができます。

VRを自動車業界で採用した事例④ポルシェ

参考:https://www.moguravr.com/porsche-vr/

ポルシェが提供しているVRコンテンツはドライバー以外の同乗者が走行中に楽しめるもの。センサーが走行中の車の動きを感知してその情報をVR上に反映してくれるというもの。たとえば、宇宙空間を漂うスペースシャトルを模した場合は、コーナリングにさしかかった時にシャトル自体も方向を変えるといった形で反映されます。

ポルシェ_VR_ホロライド_後席単独

参考:https://genroq.jp/2019/07/21/33453/

これは車酔いを軽減する効果も期待されています。将来的にはナビゲーションと連動させることによって移動時間を割り出して到着時間ぴったりで楽しめるVRゲームとして提供することも考えているそうです。

また、2020年にはポルシェ史上初のEV車「タイカン」をVRで体験できるサービス「タイカン VR エクスペリエンス」を世界中の販売店で導入すると発表しました。

参考:ポルシェ初のEV、『タイカン』をVR体験

VRゴーグルを装着してタイカンのボディラインをトレースし、スタイリングの体験が可能です。さらに空気の流れを重ね合わせてシミュレートするので、立体感と臨場感に溢れた演出となっています。

三井住友海上火災保険習所

参考:三井住友海上火災保険、VRを活用した「自動車損害調査研修メニュー」を開発

三井住友海上火災保険はVR技術を活用した「自動車損害調査の研修メニュー」をSynamonと共同開発して2021年度から実用化の開始を公表しました。新型コロナウィルスの影響を受けて従来のような集まって研修を行うことが難しくなったことと、感染リスク対策の観点から、オンライン形式で熟練者のスキルやノウハウを習得することを目的として導入されました。

参加者はアバターを作成して身振り手振りを交えながら議論などを行います。またVRは没入感が高いことが特徴で、遠隔でありながらも実践さながらの研修を受けているような学習効果が実現できるとのこと。またオンライン上での研修は、集合研修時のような移動時間も発生せず、さらに交通費・宿泊費といったコストの削減にもつながります。今後は自然災害の存在調査研修にもこのシステムが導入される予定となっています。

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ARを採用した自動車業界の事例

VR技術と同様にAR技術も自動車業界では取り入れられています。VRと一緒に活用されることも多いので、今後も自動車業界で積極的に導入されていくことが予想されます。

メルセデスベンツ

参考:https://youtu.be/OSXXy3dzP2Y

メルセデスベンツは2020年に日本で販売される車種(Sクラス)にARナビゲーションシステムが採用されたと発表されました。従来のナビゲーションでは地図上に進行すべき道がハイライト表示されるだけでしたがARをシステムに採用することで車両の前面に景色が映し出され、画面越しの道路上に矢印が表示されるようになります。

ARheadアップディスプレイによってフロントガラス越しにナビゲーションが映し出されるので、路上から目を離す必要がなく運転に必要な情報が確認できます。さらに暗い道での路肩の位置といったドライバーが注意すべき箇所には赤色でナビゲーションされるので安全性の高さも注目されています。

テスラ

EV車や自動運転車の開発でも有名なテスラもまた、AR技術を積極的に取り入れています。特に製造場面における活用に力を入れており、AR機器を使った工数削減に関する特許を出願しました。

膨大な数の製造工程・ロボット管理にARグラスを使うことで点検時の以上検出をしたりすることも可能になります。さらに各解の地図をARグラスを通して提示することで、ロボットの衝突現場での事故を回避することも可能になるので、安全性・効率化の面でも効果が期待できます。

フォルクスワーゲン

参考:https://youtu.be/dLBWOqFW8W0

フォルクスワーゲンは、2020年12月にイギリス内にあるディーラーでの車体修理にARヘッドセットを導入することを発表しました。これにより作業時間を大幅に短縮することが期待できるからです。ARヘッドセットを通して、技術者は本社の専門家と連絡が取れるので、複雑な問題に関して的確なアドバイスをもらえるのが特徴です。

参考:フォルクスワーゲンが車両修理にAR導入、作業効率は90%向上

サポートセンターでは技術者の視界を共有することで、その場に必要な資料や図の表示といった支援も行えます。すでに実施したトライアルでは修理効率は93%も改善したとの結果が得られました。さらに、車両を使えないダウンタイムも1年分削減することができ、金額にしておよそ25万ポンド(3,400万円)にも上るほど。サポートチームが現地に行く必要もないので、移動に必要なコストなども発生しないといった点などAR技術の投入は様々な効果をもたらします。

トヨタ自動車

参考:https://youtu.be/Rcct5aBGWs8

トヨタ自動車ではマイクロソフトと提携してARを用いた自動車整備作業の効率化システムを開発・採用しました。マイクロソフトの複合現実(MR)端末を使って整備に必要な情報を空間上に表示されるというものです。社長の3D設計データを元として、端末を装着すると空間上に車両情報のほかに作業に必要な項目が表示されます。

参考:トヨタとマイクロソフトがタッグ!ARで車両整備を効率化

操作はスマホのような手軽さで、音声・目線によっての操作にも対応しており、手がふさがったままでの操作も可能なのが特徴です。熟練工の作業手順を動画に納めたアプリのほかに遠隔地からの作業指示・支援ができる機能も搭載されているので、技術者にとっての課題の1つでもある技術の継承にも役立つことが期待されています。

まとめ

VR技術を自動車業界に活用した場合の事例などを紹介しました。デザインや開発・製造の場面といった作り手側にだけでなく、販売・安全性といったシーンでもVR技術は大いに活躍しています。

あたかも実物のような映像が再現できることによって、人件費や時間・資源といったあらゆるコストの削減にもつながるので、これからもVR技術を使ったビジネスシーンは増えていくことでしょう。

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