ゲームなどエンタメ分野で注目されがちなVRですが、近年はマーケティングやプロモーションなどのビジネス用途で様々な業界にVRが用いられることも増えています。
家具業界で大手のIKEAではIKEA VR Experienceというインテリアシュミレーターを導入し、VR内で部屋を歩いて生活を疑似体験できたり、自動車業界ではAudi世田谷がスマートフォンから閲覧できるバーチャルショールームを導入したりと、VRの活用方法は様々です。
そこで、今回の記事ではマーケティング・プロモーションにおける最新のVR活用事例を、分野ごとに9個ご紹介します。ぜひ、本記事を参考に分野ごとに活用されているVRはどう違うのか比較してみてください。
※スペースリーの展示場VRのサンプル。VR内に商品ページのリンクはもちろん、画像・動画・商品説明の埋め込みも可能です。
【目次】
人生の中で最も高価な買い物のひとつといえる、不動産。360度周りを見渡すことのできるVRと、最も親和性が高いといえるのが不動産分野での活用です。
安価になってきた360度カメラを使えばすぐに作れてしまうため、非常に安価で手軽に導入できることが特徴で、既に多くの不動産業者がプロモーションに利用しています。
株式会社明和住販流通センターのマンスリー事業部は、VRクラウドソフトSpacelyを用いたVRプロモーションを行っています。
参考:マンスリーマンションをウェブでVR内見?インターン生が聞いてみた! 〜明和住販流通センター快適マンスリー〜
このSpacely以外にも、多くのVR内見ソフトがリリースされており、不動産分野におけるVRマーケティングの利用は今後も増えていくことが予想されます。
家具業界では、家具と自分の部屋のマッチングやコーディネートを確かめるためのARが早くから導入されてきています。
家具は部屋に置いた際のイメージが湧きづらく、返品したくなっても非常に手間がかかるもの。VRコンテンツは、消費者からすると、ミスマッチを解消できるという点で大きな利点があるといえます。
VRを用いたマーケティングに最も力を入れているのが、スウェーデンの家具メーカーIKEAです。
このアプリは、IKEA VR Experienceというインテリアシュミレーターです。
VRの中で部屋を歩き回ったり、引き出しやオーブンの扉を開けるといった基本的な家事が行なえます。現実にこのようなキッチンがあればどんな感じなのか、インタラクティブに体験することができます。
面白い機能が、100cmでの視点に立って部屋を歩き回れるというもの。子どもの目線に立って、家具に危険がないかどうか確かめることができます。VRを活かした機能といえるでしょう。
IKEA Placeは、正確にはVRではなくARのアプリです。
スマートフォンを使い、2000種類以上ものデジタル家具をあなた自身の部屋に配置、買ってきた場合にどうなるのかを確かめることができます。
参考:IKEA PLACE(外部リンク)
RoomCo ARは、株式会社リビングスタイルの提供するルームコーディネート・アプリです。
上で紹介したIKEA Placeのように、家具を部屋に配置した際の印象を確かめることができます。
特徴的なのが、対応しているブランドの数。無印良品、Francfrancからお仏壇のはせがわまで、数多くのブランドの家具をシュミレートすることができます。2018年7月14日時点で、アイテム数は5005件にものぼっており、今後も増えてゆくことが期待されます。
配置してみて気に入った家具があれば、アプリ内からそのまま購入できてしまうのも便利なポイントです。
アプリでシミュレートして、気に入ったらオンラインで買う、という新しい購入チャネルが今後は主流になっていくかもしれませんね。
参考:ルームコーディネート・アプリ「RoomCo AR」とは?(外部リンク)
30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。
Audiは、VRの導入に最も早くから取り組んでいる自動車メーカーのひとつです。最先端技術を用いたマーケティングを行うことで、ブランディングにも大きく成功しているといえるでしょう。
Audi世田谷のバーチャルショールームは、PCおよびスマートフォンから閲覧できる360度パノラマショールームです。
美しいショールームの雰囲気を感じながらクルマを眺められるだけでなく、インテリアを360度確認したり、そのままカタログのダウンロードや試乗の予約までを行うことができます。
ディーラーを訪れる前のイメージ作りに、とても便利そうですね。
参考:Audi世田谷 公式ホームページ(外部リンク)
2017年2月から3月にかけてAudi VR ExperienceというVRを使った新型車のプロモーションを行いました。ハイエンドVRデバイスであるHTC Viveを用いた、本格的なVR体験が提供されていたことが特徴。
インテルとAudiの共同開発で制作されたこのコンテンツでは、キャンペーン参加者は運転席に座っているような体験ができるほか、車の周囲を歩き回って車の外観を360度楽しむこともできました。
ステアリングに顔を近づけると内部のパーツの構造が透けて見えるようになるなど、VRならでの体験もできたそうです。
更に、YouTubeのアウディ公式チャンネルには、Audi R8の助手席に乗ってサーキット走行を体験できる360度動画なども投稿されています。こちらは4K画質で撮影されており、非常に高クオリティな映像です。
スウェーデンの自動車メーカーであるVolvoも、VRを取り入れたマーケティングを積極的に行っている会社のひとつです。
去年オープンしたばかりのボルボスタジオ青山では、VRを使ってボルボをあらゆる形で楽しむことができます。
VR空間でVolvoを外や車内から眺めたり、ボディカラーやホイールを変更してカスタマイズしたりすることで、店頭に在庫がないクルマにも具体的なイメージを持てるようになっています。
海外旅行会社の株式会社エス・ティー・ワールドは、ハネムーンを考えている新婚の方向けに、モルディブのリゾートをVRで紹介するサービスを行っています。
このサービスではVRを用いて、多くのリゾートホテルがあるモルディブの物件を比較することができます。ハネムーンという絶対に失敗できないイベントを前にした新婚カップルにとって、非常に役立ちそうです。
基本的に店頭でしかコンテンツ閲覧はできませんが、ホームページからサンプルを見ることができます。
2018年7月14日現在、12リゾートが対応しています。今後もコンテンツはどんどん追加されていくようです。
静岡県沼津市は、全国で初めての「デートVR」を制作し、観光プロモーションを行っています。
この映像は、「東京から近く、体験できるレジャーが豊富な点」をアピールするために制作されました。
3年半の交際を経た東京のカップルが、沼津市でデートを楽しむストーリーとなっています。
訴求したい観光名所をストーリー仕立てにして紹介しており、興味をそそられる内容となっています。今後はこのような形でのVR観光案内が増えていくかもしれません。
以上のように、いろいろな業界でVRを活用したマーケティングが行われています。
特に、不動産や家具、車といった、大きな買い物にVRが用いられていることが多いことが印象的です。
これらの買い物は、人生におけるビッグイベントでありながらも、手に入った後のイメージが湧きづらいもの。VRによって、事業者と顧客間でのミスマッチが減ることが期待されます。
VRマーケティングはまだまだ始まったばかりの分野です。今後の技術の進歩によって、ますます活用の幅が広がっていくことが楽しみですね。