VRと空間データ活用のヒントが見つかる

リコーシータのオート撮影モードでの設定について〜HDR合成やノイズ低減など

(2018年3月8日内容を一部更新しました)

コストパフォーマンスに優れ、手軽に360度撮影ができるリコーシータ。
VRコンテンツの編集管理のクラウドソフトSpacelyでも一番使っている360度カメラで、360度撮影をこれから始めてみたい!という方にはかなりオススメです。

使い方ですが、基本的にはスマートフォンに”ThetaS”というアプリをダウンロードして、Wi-fiでカメラとつないで撮影します。
その際にいくつか設定できる項目があり、その項目を上手に使うためにはカメラの知識が少し必要です。というのも、全天球カメラは撮影してから画像を確認するまでに普通のデジタルカメラより時間がかかるため、設定の仕方をきちんと理解していないとシャッターチャンスを逃してしまう可能性があるためです。

そこでSpacelyでは、リコーシータのアプリ上での設定項目と、上手な設定の仕方のコツを二回に分けて解説していきたいと思います。今回はオート編。

30分で解説!事業者向けの360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5,000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。

 

 

オートで設定できる項目は

・EV

・ノイズ低減

・DR補正

・HDR合成

の四つ。このうち、EV以外はOption Settingからの設定となります。
IMG_0452

 

EV

これは(Exposure Value)の略で、明るさを表します。

-2.0から2.0までで調整でき、数字が大きくなるほど撮影した画像が明るくなります。オートの場合はカメラが自動的にここで選んだ明るさに合わせてくれます。
屋外で十分明るさが撮れている場面ではEVはゼロ近辺でちょうど良いのですが、不動産物件などの場合は、若干明るめに設定した方が雰囲気が明るく、きれいに見えますので、EV1.0-1.3程度に設定するのもおすすめです。
一方で、照明にメリハリがある部屋を撮る場合は暗いところは暗く見えた方が良いですし、光が差し込んでいる部屋は明るく設定すると窓の白飛びが激しくなって、いかにも実際よりも明るく見せようとしているように見えてしまいますので、とにかく明るくすれば良いというものでもありません。
また、夜景やイルミネーションの撮影の場合も、明るい照明と暗い夜の空間のメリハリがないと美しく見えません。
いずれにしろ、撮影する場所の環境に合わせて、いくつか撮り比べて最適な明るさを見つけることが重要です。

 

ノイズ低減

暗い場所で撮影するのに便利なのが、このノイズ低減。(暗い場所では)このモードはずばり、シャッタースピードを長く、ISOを小さくした撮影モードです。

そのため、動くものを撮影するのには適していませんが、若干明るさが足りない室内なども、オートだけの設定でとると陰の部分にノイズ(ざらつき)が出やすいので、不動産物件の撮影などでも使える機能です。
また、屋外の撮影など、人の顔が映り込んでしまうと困る場合なども、このモードなら動いている人はぶれやすいので、はっきりと映り込むのを防ぐことができます。

ちなみに明るい場所だと数枚の写真を合成する仕組みになっているようで、こちらは動くものが全くないときにおすすめです。

DR補正

DR補正(ダイナミックレンジ補正)は、画像の暗い部分と明るい部分の差(コントラスト)を少なくすることで、黒つぶれ(画像の一部が黒くてなんだかわからなくなること)と、白飛び(こちらは白くてわからなくなってしまうこと)を防ぐものです。
明るさの足りない室内を撮影する場面など、EVを単純に明るくしすぎると、白飛びが目立ってしまいますが、DR補正を使うと、室内を明るく見せながらも、窓からの風景も同時にある程度写すことができます。
以下のコンテンツは、マンションのバルコニーからの風景を1枚はオートのOption SettingsはOff、もう1枚はDR補正を入れて撮影したものです。
DR補正を入れた方は、風景の白飛びを防いで、きれいに撮影できています。

新しいタブで開く>

一方で、DR補正を使うと、赤色が若干橙色がかって、色合いが違って見える場合がありますので、風景やアートギャラリーの撮影など、実際の色合いを重視して撮影したい場面では注意が必要です。

 

30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。

 

HDR合成

空室の撮影では、外は明るいけど、室内はちょっと暗いという逆光のような状況が多くなります。このような環境のことを明暗差が大きい、つまりダイナミックレンジが大きいと言いますが、HDR合成であればきれいに撮影することができます。
HDR合成のHDRとはHigh Dynamic Rangeの頭文字で、ダイナミックレンジが広い環境でも綺麗に撮影ができる機能です。
iPhoneユーザーであれば、逆光で撮影した写真の左上にHDRと表示されているのに気づいたことがある方もいるのではないでしょうか。

リコーシータのHDR合成(ハイダイナミックレンジ合成)は、リコーのホームページによると
”DR補正と比較して、-4EV~+2EVの間で4枚撮影することにより、より白飛びしにくく、また黒潰れしにくくい画像を得られます。”と書かれています。

HDR合成を使用すると、明るい日の室内撮影や、夜にイルミネーションを撮る場合のような明暗差の大きい環境でも、白飛び、黒つぶれを防いで綺麗に撮ることができます。
特に不動産物件の空室の撮影の場合、照明が十分に入っていないのに、外は明るいというケースが多くなるため、HDR合成は特に活躍します。

注意点も3つあります。

HDRの注意点その1:若干色合いが不自然になることがある

日中の写真の場合、空が実際以上に青く写る一方で、赤い色などは若干橙色っぽい感じになりますし、イルミネーションやビルの夜警などの場合には、空が実際よりも明るくなり、橙色っぽい色は強調されます。
いずれの場合でも実際に目で見た色合いとは異なって、DR補正以上に不自然に見えることがあります。

以下のコンテンツは、イルミネーションをそれぞれリコーシータSCのノイズ低減、DR補正、HDR合成で撮影したものを比較したものです。

新しいタブで開く>

HDRの注意点その2:手持ちで撮影するとブレやすい

4枚の写真を連続で撮影するため、手持ちで撮影するとブレやすく、三脚等でカメラを固定しておく必要があります。
逆に、動いている人が映り込んでもほとんど見えなくな流ので、屋外の人通りがある場所での撮影でも、通行人を自然にぼかすことができるというメリットはあります。

HDRの注意点その3:シータS、SCの場合、処理に10秒ほどかかる

HDR合成の場合、撮影後に4枚の写真の合成の処理が入るため、ノイズ低減などの他のモードに比べて処理に時間がかかります。
リコーシータSCやリコーシータSCの場合、処理に10秒近くかかりますので、テンポよく撮影したい場合はちょっと気になるかもしれません。
最新機種のリコーシータVの場合は、HDR合成の処理時間は改善されており、それほど処理時間は気にならなくなっています。

HDR合成が設定の中に見当たらない場合

リコーシータのHDR合成は、リコーシータS、リコーシータSC、リコーシータVに実装されている機能です。
(残念ながら、m15などのもっと古いリコーシータには無い機能です)
ただし、リコーシータSの場合、HDR合成が設定の中に見当たらないというケースがあります。
その場合、リコーシータSのファームウェアアップデートをする必要があります。(ファームウェアアップデートの手順はこちら
HDR合成の機能はリコーシータSが発売された当初は実装されておらず、後からファームウェアアップデートで追加された機能なのです。
ファームウェアアップデートが完了すればHDR合成を活用できるようになります。

 

まとめ

360度カメラは従来のデジタルカメラやスマホカメラに比べて、正しい知識がないと上手な写真が撮りづらいともいえるでしょう。
一方で、適切に設定を行えば、オートでも十分にきれいな360度写真を撮ることができます。以下もご参考ください。
リコーTHETA Sの簡単で上手な撮り方〜写真編〜
次回はマニュアル編です。こちらの記事もあわせてどうぞ。

参考リンク:
360度カメラでの撮影についての記事一覧
360度カメラでの写真・動画撮影について興味がある方はこちら

SNSでフォローする