最近多く耳にするようになった単語VR(Virtual Reality)というのは一般的にはゲームのイメージが強いかもしれません。しかし、実際にはビジネスの幅広い分野で活用されています。
今回は福祉・介護の現場でのVRの活用法、メリット・デメリット、実際に採用している事例について紹介します。福祉・介護の人材不足が嘆かれる昨今、研修や訓練、そして高齢者への娯楽としてVRは活用されています。
より効率よく研修や訓練を行うことができるVR。この記事を病院・老人ホーム・介護施設などでのVRの活用・導入に役立ててください。
世間一般におけるVR研修に関するイメージ(意識調査)と、実際にVRを導入している事業者の体感 (実態調査)の両面でアンケート調査を実施しました。
☑ 意識調査ではVRゴーグル購入や制作費用が高いイメージだが、実態としてはPCやスマートフォンにおけるVR活用がメインであり、年間コストも50万円以下とVRに対するイメージと実態にギャップがある。
☑ 意識調査では約6割の事業者が今後のVR活用について懐疑的。実際にVRを導入した事業者の6割以上が効果を実感。今後も利用を継続していくため、一度VRを試せば継続的に活用していく傾向。
ダウンロードはこちらから。ぜひ、今後の新人研修・社員研修にお役立てください。
【目次】
ここでは実際にどのようにVRが活用されているかを紹介していきたいと思います。
近年、介護業界では成り手がおらず、深刻な人数不足に悩まされています。
そのため、現場の人が足りず、研修にしっかりと時間をかけないままの未熟な状態で現場に出ることも。
また、どうしても単なる研修だと座学が主体になってしまい、現場のイメージが掴めず、研修を終えたのに戦力にならないこともしばしば。
これらの介護業界の課題はVRの特性である、いつでもどこでも、リアルな研修が行えるという利点を活かせば解決可能です。
教える立場の介護福祉士が忙しくても、現実にそっくりな映像を体験することでリアルな研修が行えたり、イメージを掴めたりします。
また、これまでの研修では難しかった介護される側での視点も気軽に体験することができるのもVRの大きな魅力。
介護される側の視点に立った研修を経験することで、クオリティの高い介護を提供することが可能になります。
これらの利点から介護福祉士の研修にVRは活用されています。
介護福祉士への研修だけではなく、介護の教育現場での訓練に応用することも可能です。介護の教育では、どうしても座学が主体になってしまい、一方通行的な教育になりがち。
もちろん、介護の現場での訓練もありますが回数・期間が限られてしまうのも実情。
しかし、VRを導入することによりいつでも実践的な訓練を行うことができ、実践に即した教育を行うことができます。
また、VRと同時にモーションキャプチャーシステムなどを利用することにより、被介護者に触れているような体験も可能。
実際の現場での負担を体感できるコンテンツを体感することができるのはVRならではです。
施設や病院、老人ホームなどにいる、外出が困難な人たちに向けて、安心・安全にVRで「旅行・外出体験」を提供することができます。
外出が困難であり、家に長く帰れていない方の家を撮影し、VRで映像を映すことによって、まるで本当に帰宅しているかのような体験を提供することが可能。
実際に外に出るわけではないので、怪我や病気の心配もなく、安心・安全に「旅行・外出体験」をすることができます。
被介護者の日々のストレスを軽減する目的でもVRは採用されています。
VRを用いることで、脳梗塞などの患者の下肢機能の回復を目的としたリハビリを、数値的にも感覚的にも解析することができます。
それによって、より効率的なリハビリが可能。病院や施設などでのリハビリに活用することができます。
実際に日常生活に戻った時の環境をVRで再現することで、リハビリへの意欲や日常生活への復帰後の安全性を高めることができます。
また、脳と体の感覚のずれをより早く修正することが可能であり、リハビリの効果も早く出やすいというメリットがあります。
ここからはVRを福祉・介護の現場で採用するメリットとはどのようなものがあるのか?ということについて説明していきたいと思います。
VRを活用することでいつでもどこでも研修を実施できます。
介護・福祉業界での深刻な人数不足の問題から、どうしても研修を行うための人材を確保したり、時間を確保したりするのは難しくなっているのが現状。
VRを活用することで実際の体験として映像で学習することができ、時間・場所に関係なく学習が可能。単なる映像視聴ではなく、実際の体験になるので研修の定着度も高いものとなります。
また、講師の人と時間が合わなくても後から研修時の映像を見返してコメントすることもできるので、研修の人材の確保も安心です。
介護福祉士が介護をする中で危険だと思う状況や出来事を研修などで口頭で教えることは可能です。しかし、その体験をすることは困難であり、イメージを具体的に持ってもらうことは難しいもの。
また、危険な状況に遭遇してパニックになり、被介護者に怪我を負わせてしまうということも。
これらの問題をVRを活用して体験することによって対策することが可能です。
また、被介護者の目線での体験も可能なので、危険を予測することもでき、安全の向上を図れるというメリットがあります。
リハビリトレーニングというものは継続することが重要ではありますが、大きな苦痛や困難を伴うものでもあります。
辛いリハビリにVRを活用し、ゲーム要素などを追加することで、リハビリを行う人が無理なく楽しめます。それにより、継続しやすくなるというメリットがあります。
病院や介護施設、老人ホームなどで外出が困難な被介護者に、安心・安全に「外出・旅行体験」を提供することが可能です。
家に帰ることができない利用者に対して、家を撮影。VR上でその映像を見る事で、本当に家に帰ってきたかのような体験を提供することができます。
また、旅行が好きという方には、行ってみたい場所の映像を流すことによって、旅行体験の提供することが可能。また、VRを利用することで、怪我をするリスクや、同伴する介護者の人員を減らすことが可能。
安全性・コストの両方に対して、メリットがあります。
2021年11月リリース「2021年度 社員教育におけるVR活用の意識・実態調査」
世間一般におけるVR研修に関するイメージ(意識調査)と、実際にVRを導入している事業者の体感 (実態調査)の両面でアンケート調査を実施しました。
☑ 意識調査ではVRゴーグル購入や制作費用が高いイメージだが、実態としてはPCやスマートフォンにおけるVR活用がメインであり、年間コストも50万円以下とVRに対するイメージと実態にギャップがある。
☑ 意識調査では約6割の事業者が今後のVR活用について懐疑的。実際にVRを導入した事業者の6割以上が効果を実感。今後も利用を継続していくため、一度VRを試せば継続的に活用していく傾向。
ダウンロードはこちらから。ぜひ、今後の新人研修・社員研修にお役立てください。
VRを福祉・介護の現場で採用するデメリットについて解説していきたいと思います。
実際の導入に際して、障害となり得ることを事前に知っておくことで、それらへの対策を立てることも容易です。
解決法も合わせて解説しているので、参考にしてください。
VRを導入するためにはヘッドマウントディスプレイやゴーグルなどの機材を揃える費用が必要。また、帰宅体験の提供となると、撮影するためのVRカメラなどの機材が必要となります。
どれだけの数が必要となるかは状況次第ではありますが、数十万程度は見ておく必要があります。
一見すると高いコストがかかっているように見えます。しかし、初期費用以外には維持費などは、ほとんど必要がないので長い目でみるとコストはそこまで高くはないといえるでしょう。
VRの導入にあたり研修を受ける新人などに、操作方法の研修の時間が必要です。しかし、新人研修などの若い年齢層への研修を想定すれば、スマホなどに慣れ親しんでいることからも短期間で慣れることが想定できます。
VRの研修時間を導入する事で、今までの研修にかけていた人員や時間を削減できるので、大きなデメリットとはいえないでしょう。
高齢者などはスマホなど最新の電子機器に対して苦手意識から不信感を持つ人が多く、VRの利用を拒否する場合も考えられます。どうしても不信感を完全に拭うことは難しいことも事実。
対策としては、普段介護をしている方が一緒にVRを使い、VRについて説明すること。信頼している相手から説明を受け、一緒に使ってみることで不信感が減り、高齢者としても利用しやすくなります。
ここからは、実際にVRを福祉・介護の現場で採用している事例をいくつか紹介していきます。
株式会社ヒューマンライフケアは介護・保育など、あらゆる世代の人の暮らしを支える、様々なサービスを提供している会社です。利用者の目線に立つためや、能動的な研修のために自社の介護スタッフの研修をVRで行っています。
これまでの介護研修では、どうしても座学研修が多くなりがちであり、トレーナー側の一方通行的な研修になることも。しかし、VRを導入することで、実際のイメージが掴みやすく、経験値を多く詰むことができる能動的な研修が可能になりました。
また、被介護者がどのような視点で介護を受けているかという体験ができることも大きな魅力。360°見渡すことが可能なVR空間の特性を活かした、介護現場の危険な場所を探し出すなどの研修も行われています。
VRを用いた歩行訓練のリハビリサービスがアメリカのデューク大学によって行われています。自力歩行が不可能な患者が対象で、VRで足元の画面を見ながら、その時に生じる脳波をもちいて歩行訓練をするという内容です。
このリハビリサービスを受けた患者さん全員が足先の感覚や、運動能力を実感したという結果がでています。
VRでの旅行体験は「google earth」「Youtube」などのサービスを使うことで簡単に利用することができます。
介護施設や老人ホーム、病院などで外出が困難な方たちへ気軽に旅行の体験を提供することが可能。
実際に旅行に行くとなると、宿泊費や交通費などの費用や、旅行に同伴する介護福祉士などのコストがかかります。
しかし、VRを利用することでそのようなコストを大幅に削減することができます。
介護業界の深刻な人手不足のため東京福祉保育専門学校では介護福祉士の仕事を理解してもらうための介護福祉士体験コンテンツを提供しています。
介護福祉士がどのような仕事をしているかというのをよりリアルに体験することによって介護業界への理解度が深まり、イメージがより掴みやすくなります。
離職率の高い介護業界へ興味を持っている若い年代の方達に体験コンテンツを利用してもらうこと。
それにより、介護業界の仕事のやりがいや楽しさ、辛さも経験してもらうことで、今後の進路に参考になるということも大きなメリットです。
VRを介護・福祉の分野での活用法に合わせて、導入する際のメリット・デメリット、実際の活用例について紹介しました。VRを介護・福祉分野に導入する事で、介護をする側とされる側、どちらにとってもメリットがたくさんあります。
介護・福祉分野では相手の目線に立つということが何よりも大切であるということ。また、介護業界での深刻な人員不足などの問題。これらの課題はVRを介護・福祉分野に導入する事で解決することができます。
VRを活用して、介護・福祉分野の課題を解決していきましょう。