VR技術は、一般の人でも気軽に体験できるようになりました。
もっとも身近なVR技術といえば、Vtuberを思い浮かべる人も多いでしょう。
Vtuberの動画制作やライブ配信、イベント配信などでは、VRスタジオが活用されています。
Vtuberの制作以外でも、VRスタジオには、番組制作、アーティストのライブ撮影、ビジネスなど、様々な分野で活用されています。
この記事では、VRスタジオが一体どのような場所なのか、どのように活用されているのかを解説します。
最後におすすめのVRスタジオもご紹介しますので、これからVR技術を活用したい方は必見です。
【目次】
VRスタジオとは、VR映像や画像などを制作するための環境が整っているスタジオのこと。
基本的には、グリーンバックの垂れ幕や壁、VR映像を撮影するためのカメラや機材などが設置されています。
VRスタジオでは、自宅で体験できるVRアプリでは制作できない高品質な映像や画像を作ることが可能。
多くの人に注目される、魅力的なコンテンツを制作できます。
また、VRスタジオは撮影のために場所をレンタルできるだけではありません。
コンテンツの企画や3Dキャラクターの作成など、制作の準備段階からスタッフに任せることができるのも特徴のひとつ。
VR撮影についてのノウハウがなくても、サポートを受けながら制作に取り組むことが可能です。
VRスタジオは、ビジネスやECサイトの運用、Vtuber制作といったさまざまなシーンで活用されています。
まずは、VRスタジオがどのように活用されているのかを5つに分けて詳しく解説します。
引用:Reality Virtual Studio 2019 Showreel
VRスタジオに設置されたグリーンバックを背景にして人物などを撮影し、CG背景とリアルタイムで合成。
CG背景でさまざまな環境を再現しながら、CM制作や番組制作を行うことが可能です。
3D空間のCG背景はカメラワークに合わせて動くため、従来の動画よりもリアリティがあります。
360°どこから見ても、違和感を覚えることはほぼありません。
事業内容の紹介や会社案内、提供サービスのPRなどでもVR撮影が用いられています。
上記の動画は、大手の航空会社であるANAが制作した動画。
沖縄の海でダイバーがVR撮影を行い、沖縄の魅力を伝える動画をYouTubeで公開しています。
動画内では、ウミガメと一緒に泳いでいるようなシーンや、ドローンで美しい海全体を映したシーンも。
VR動画で観光地の景色をリアルに楽しめることで、「実際にその場所へ観光しに行きたい」という気持ちを、視聴者に抱かせることができます。
アーティストのライブをVR撮影することで、視聴者が自宅にいても、まるで会場にいるかのような臨場感のあるライブ映像を楽しむことができます。
最前列やステージ上といった場所にカメラを設置することで、普通のライブでは見ることができない視点から楽しむことも可能に。
遠方にいるなどの理由で会場に行けない人たちにも、気軽にライブに参加してもらうことができます。
アーティスト側としては、視聴者数の制限を設ける必要がないため、新規ファンの獲得につなげられます。
人数を制限する必要がなく話題性もあるため、従来よりも収益を上げることも期待できます。
ECサイトでは、オブジェクトVRを利用することで訴求力向上につなげることができます。
オブジェクトVRとは、商品の画像を360°自由な角度から見ることができる画像を制作する技術。
静止画像とは違って商品が”立体的に”見えるため、商品の細かいデザインや質などを、消費者が把握しやすくなります。
オブジェクトVRをECサイトに取り入れることで、サイト自体の信頼度や、消費者の購買意欲を高めることができます。
Vtuberは16,000人以上が活動しており、YouTubeのコンテンツとして絶大な人気を誇っています。
スマートフォンのアプリだけでもキャラクター制作やライブ配信は可能ですが、スタジオを使用しないと全身の撮影をするにはスタジオの利用が必須。
VRスタジオ内では、歌手として活動しているVtuberのMV撮影や、ダンスの撮影などを行うことができます。
Vtuberが出演する屋外イベントでもスタジオが活用されており、イベントの参加者とVtuberがモニターを通してリアルに会話することも可能です。
VRスタジオはスタジオの用途によって設備が異なります。
そのため、用途によってきちんと選ぶことが必要。
制作したいコンテンツに合わせて、スタジオを選ぶことが重要です。
大きく4種類のVRスタジオを解説します。
クロマキー合成で研修や会議の資料と人物を合成し、非対面でも伝わりやすい映像を作成できます。
クロマキー合成とは、わかりやすく言うと切り抜き合成のこと。
グリーンバックなどの特定の色を透明化し、別の素材を合成する技術です。
この手法を用いることで、会議・研修のコストや手間を削減できるため、業務の効率化につなげることが可能に。
一度収録したものはいつでも何度でも利用できるので、大人数の研修や振り返りにも最適です。
遠く離れた場所にいても、まるで放送局のスタジオ内でインタビューを行っているかのような映像にする『テレポーテーション』という演出が可能です。
演出の準備として、まずは会場に簡易的なグリーンバックを設置。
グリーンバックを背景にして選手が映ることで、その選手が放送局のスタジオにいるかのような合成映像を作り出すことができます。
この演出は、eスポーツやモータースポーツといったスポーツ大会を中継する番組制作に向いています。
リアルタイムで、360°自由な角度から楽しめるVR動画を配信できるスタジオです。
視聴者は視点の切り替えが可能で、会場の最前列よりも近い視点でアーティストのライブに参加できるというメリットもあります。
没入感を生かしたライブ体験ができるのは、VRスタジオの配信ならでは。
アーティストの世界観を表現したCG背景を使用することもできます。
Vtuberを撮影するスタジオで使用されるのは、『モーションキャプチャ』という技術。
人間の動きを読み取るマーカーを全身に付けると、カメラがそのマーカーの動きを捉えて、画面内のキャラクターに反映する仕組みです。
スタジオによっては表情も読み取ることができるため、まるで画面の向こうで生きているような、リアルなVtuberの制作が可能に。
VR機器や動画制作の知識がない場合でも、VRスタジオを利用することで本格的なVtuberを簡単に制作できます。
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ここからは、おすすめのVRスタジオを5つピックアップしてご紹介します。
どの用途に向いていてどのような特徴があるのか、利用料金はいくらなのかもまとめました。
VRスタジオ選びの参考にしていただけると幸いです。
画像引用:アークベル株式会社
スタジオ名
スタジオの特徴
料金
アークベル株式会社は、2020年からVRスタジオの運用を開始。
Zero Density社の『Reality Engine(R)』と呼ばれるVR業界最高レベルの合成ソフトと、STYPE社の『Redspy』を使用しているハイエンドの環境です。
VR撮影のグリーンバックは幕を垂らしているタイプも多いですが、アークベル株式会社のスタジオは3面の壁を塗装しています。
さらに、複数のネットワーク機器の使用やプロバイダの多重化など、配信が止まらないようなシステムを構築。
安定した環境で、高品質かつ規模の大きい撮影ができる数少ないスタジオのひとつです。
画像引用:MateReal株式会社
スタジオ名
スタジオの特徴
スタジオの料金
MateReal株式会社は、2020年からVRスタジオの一般レンタルを開始。
4m×2.4mの撮影スペースには、OptiTrak社のモーションキャプチャ機材が20台設置されています。
最大3人まで同時に収録することができるので、数人で活動しているVtuberや、コラボ動画などの制作も可能です。
VRスタジオの中でもっともリーズナブルな価格設定のため、お試しの利用も。
キャラクターや撮影シーンのセットアップは、オプション料金で利用することができます。
画像引用:ASATEC
スタジオ名
スタジオの特徴
料金
ASATECは、ビジネス向けのVtuber制作に向いている『VRスタジオLIVE』を開発しました。
Vtuberを演じる人と操作スタッフの2人だけで撮影が可能。
オプション料金となりますが、3Dキャラクターの制作を任せることができるので、3DCGの技術がなくても利用できます。
『VRスタジオLIVE』は経済産業省の補助金の対象となるITツールとして登録されているので、コストの面でも利用しやすいです。
Vtuber制作だけでなく、研修やイベント向けのVRも利用できます。
画像引用:スタジオKOO
スタジオ名
スタジオの特徴
料金
『TENSATSU(転撮)』と呼ばれるスタジオKOOのオブジェクトVRは、2020年から開始されたサービス。
商品や人物モデルを360°撮影し、オブジェクトVRを制作します。
撮影データはHTMLで簡単に埋め込みができるので、サイトに導入する作業の負担がほぼありません。
2400万画素を超える解像度で撮影するため、画像を拡大しても荒れることがなく、材質や細部のデザインが伝わりやすいという特徴も。
一方、パノラマVRは企業案内やコンテンツのPRなどに活用できます。
観光地のPRや不動産の住宅案内、自動車の車内画像といったコンテンツ制作に向いているでしょう。
スタジオ名
スタジオの特徴
料金
one stop studioは、本格的で高品質な番組制作やライブ配信ができるVRスタジオ。
展示会やオンライン営業といったビジネスシーンでの利用から、YouTubeなどの番組制作、アイドルや声優の大規模なイベント配信まで可能です。
番組の台本やBGM、インサート動画などの制作もスタジオに任せることもできますが、その分コストはかかります。
カメラマンや機材をレンタルする場合は別料金。
そのため、どちらかといえば企業や組織向けのVRスタジオといえます。
Vtuberが流行している中で、VRスタジオは企業だけでなく、一般の人でも利用できるサービスへと変化しています。
一口にVRスタジオといっても、用途や特徴はさまざまです。
低コストで気軽にコンテンツを制作することも、コストや時間をかけて品質にこだわることもできます。
VRスタジオを上手に利用することで、他にはない魅力的なコンテンツを制作して発信できるでしょう。