「人間が現場にいなくても、VRロボットを遠隔操作することで業務が遂行できる。」
そんな新しい時代が到来しました。
立体的な映像技術の進歩や、人間に近い繊細な動作ができるロボットの開発が進んでいると企業からも続々と報告され、世間でも関心が高まっています。
「人間ができることを遠隔操作するだけならVRロボットでなくても良いのでは?」という疑問を持つ方もいると思います。
今回は、VRロボットの活用方法から活用事例、VRロボットでしか得られないメリットについて詳しく紹介していきます。
VRを用いてロボットを遠隔操作することによって、離れた場所からでも繊細さが求められる業務が可能になります。
それでは、一体どんな場面でVRロボットが操作されているのでしょうか。
活用されている場面を3つまとめたので1つずつ詳しくみていきましょう。
「緊急を要する場面で、手も足も出ない。」
「危険が伴う災害現場で何もできず時間ばかりが経ってしまった。」
人が災害現場に直接赴き対応をするといったことは危険な現場では困難なもの。
また、これまでのロボット技術では、あくまでもカメラで映像を捉えることしかできず、繊細な作業などは困難でした。
しかし、VRでロボットを遠隔操作で操ることができれば危険な場所での作業を、より安全で大きなリスクを冒すことなく行うことが可能となります。
操縦者は高い映像技術により立体的に現場を確認できるため、繊細な作業を行うことも可能です。
これまでの映像技術では奥行きの感覚などが掴めず、遠隔地から行うことができなかった手術がVRの技術を利用することで可能となりました。
欧米では腹部ヘルニア手術にVR遠隔操作ロボットが導入されており多くの患者を救っています。
宇宙など距離が遠く、現実的に実際に行って作業するということが難しい状況でも、VRロボットを使えば作業が可能に。
また、作業中の目線を共有して見ることも可能なので、作業の見落としなどもなくなります。
移動距離を短縮できるだけでなく、移動による心身へのダメージのリスクを回避できるメリットもあります。
VRロボットを操作するというと、「できる人に実際に現場に行って作業してもらった方が早いのでは?」そんな疑問が湧いてきますよね。
ここでは人間でなくVRロボットに作業をさせることによって得られるメリット4つを紹介していきます!
遠隔操作により、海外などの遠隔地で業務ができることになり、更に今まで対面接客が常識だった仕事がテレワーク可能になり新しい働き方が実現可能となります。
結婚・出産・育児や介護等のライフスタイルの変化が起こったとしても在宅で自分のペースで仕事をすることができます。
雇用される側にもメリットがあるのはもちろん、雇用する側も優秀な人材の流出を防ぐことができることも大きなメリット。
放射線などの影響が懸念される宇宙での作業も、GITAIが開発した『人型テレプレゼンスロボット』の導入で宇宙飛行士が安心して作業が行えるようになります。
コックピットで長期に渡って移動して作業するという常識を根底から覆すことになるでしょう。
失敗が許されない精密な業務としてあげられるのは、外科手術でしょう。
従来の技術では手術の感覚が掴みにくくロボットの導入が難しかったのですが、技術の進歩により可能となりました。
精密な技術ができることはもちろん、体内にカメラを入れて術野全体をVRで映し出すことも可能になり、手術の正確さを上げることもできます。
余計な人員配置を無くし適正な人員配置することで業務の効率化を図ることができます。
VRロボットの活用は、作業時間の短縮だけでなく大きなコストカットにも繋がっていくでしょう。
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VRでロボットを操縦をして実際に活用している事例を5つ詳しく紹介していきます。
遠隔操作ロボットを活用している企業や、そのVRロボットの実態や導入に至った背景などを踏まえてみていきましょう。
引用:Mogura VR
羽田空港の第1ターミナルで活躍している人型遠隔操作ロボットJET(ジェット)は、空港の案内役であるグランドスタッフとして働いています。
VRヘッドセットを装着して遠隔操作しているアバターロボットJETの操縦者は、日本航空株式会社(JAL)のグランドスタッフ。
操縦しているJETのグランドスタッフは、音声通話を利用してお客様とコミュニケーションがとることができます。
さらに、移動や顔や腕を動かすことで感情表現をさせることもできます。
感染拡大の影響化であってもお客様に安心して空港を利用してもらうための新しいサービスとして提供を始めました。
JETは株式会社インディ・アソシエイツのVR技術をベースに開発され2020年に一部実用化されました。
空港の顔でもあり、また対面業務が当たり前であるグランドスタッフになぜアバターロボットJETが導入されたのでしょうか。
感染拡大だけが理由ではなく、当初の導入背景はグランドスタッフの働き方改革にありました。
グランドスタッフの9割は女性であることから、出産・子育て・介護などライフスタイルの変化に対応できるように導入。
日本航空株式会社(JAL)は、遠隔操作ロボットを導入することで、グランドスタッフの在宅勤務ができるようになりました。
ライフスタイルが変わっても安心して働けることを可能にして、更に新しいサービスの向上を掲げています。
引用:Mogura VR
GITAI Japan株式会社は、宇宙飛行士の作業を代行する人型遠操作ロボット・プロトタイプ6号機の開発に成功しました。
このロボットの導入により、宇宙作業コストを10分の1にまで下げることを目標としています。
アポロ11号 が1969年に月面着陸してから現在まで50年以上もの月日が経っているにも関わらず宇宙開発が進んでいない印象を受ける方も多いはず。
その理由にはロケット打ち上げ費用込みで宇宙飛行士1人にかかる年間費用が438億円にもなることが一つ。
宇宙放射線などの影響を考慮していることから1回の滞在で約3ヶ月程度しか宇宙に滞在できず、更に水や食料等の補給物資も必要となります。
それにより、頻繁にロケットを打ち上げる必要があるため莫大なコストと途方もない時間がかかってしまいます。
VRロボットの利用により、ロケットの打ち上げ回数を減らすことが可能。
たとえば、宇宙作業コストを10分の1に削減できた場合、約44億円で済むのですから効果は絶大。
また、宇宙飛行士の放射線による健康被害やロケット打ち上げによるリスクも回避できます。
長い月日をかけて宇宙に滞在しなければならない宇宙飛行士の精神的・肉体的なストレスの軽減や、宇宙飛行士達をサポートする家族の負担を軽減できるメリットも。
2040年には火星や月に都市を建設したり、宇宙コロニーを建設したりする目標に向けてGITAIは活動を続けています。
GITAIの半数以上が博士号取得者であり、多くのプロジェクトが進められています。
引用:Mogura VR
自動車業界のイメージが強いトヨタが第3世代のヒューマノイドロボット「T-HR3」の開発に成功しました。
トヨタは1980年頃より自動車業界で培った技術を利用して生活をより良くする産業用ロボット(パートナーロボット)の開発を進めています。
ロボットのカメラ映像がVRデバイス「HTC Vive」のディスプレイに映し出されることで、状況をリアルタイムで見ることができます。
更に操縦者は、遠隔操作している操縦者は自分の分身の様にロボットの手足を動かすことが可能。
トヨタは全ての人に移動の自由を提供することを目標にかかげています。
今後、開発されたロボットは高齢者や障がい者を持つ人や医療・介護用のパートナーロボットとして導入されるとのこと。
引用:Mogura VR
手術用ロボットを開発しているVicarious Surgicalは、患者の負担が少ない手術を実現するためにVRで運用できるロボットを開発。
HMDはゲーム(steam)などの娯楽用コンテンツとして利用されているイメージが強いですが、産業用用途としても注目されています。
一度の切開で直径1.5センチのスペースからロボットアームとカメラを挿入し、操縦者である医師は体内の様子を確認しながらアームを操作して手術を行います。
これにより手術に対する患者の負担を従来より大きく軽減することが可能となりました。
Vicarious Surgicalの高い技術には注目が集まり、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏、Googleの元CEOエリック・シュミット氏などが出資していることでも話題となっています。
引用:Mogura VR
大成建設株式会社は、重機を遠隔操作する臨場型映像システム『T-iROBO Remote Viewer』の開発に成功しました。
注目すべき点は重機に取り付けた魚眼カメラの映像がHMDでリアルタイムで表示できること。
魚眼カメラは180度に渡る広範囲を映すことができるため、操縦に必要な現場の状況を把握しやすくなります。
このシステムにより、災害復旧工事など二次災害に巻き込まれるリスクのある作業を効果的に行うこと。
また、従来の建設現場作業をより安全で効率的に行うことが可能となります。
臨場型映像システム『T-iROBO Remote Viewer』の導入は、これまで危険と隣り合わせであった建設現場作業に大きな革命をもたらしてくれるでしょう。
ここまで操作でVRロボットを活用するメリットや活用事例等を紹介してきました。
「人間が直接現場に行って作業したり、対面でのサービス提供が当たり前だった業務をロボットが担う」
VRロボットを遠隔操作して業務をするのが当たり前になる、そんな驚くべき時代がそこまで来ています。