VRと空間データ活用のヒントが見つかる

【VR報道】VRを用いたジャーナリズム事例5選

ゲームなどの娯楽だけでなく、不動産、教育、医療など、様々な分野でVRの導入が進んでいます。報道の分野においても、VR(360度動画、画像)を活かしたものが多く見られるようになってきました。

通常の動画や画像に比べて圧倒的に情報量が多く、臨場感を伝えることにも適しているVRですが、それによってどのようなコンテンツが制作されているのでしょうか。

今回の記事では、日本のメディアが提供しているVRコンテンツサービス2つに加えて、YouTubeにアップロードされている海外のVR報道コンテンツを3本紹介します。

どのコンテンツもスマホとVRゴーグル(グラス)を使えば簡単にVRモードでの視聴が可能です。ぜひお試しください。

スマホとVRグラス「カセット」でVR動画の視聴▲スマホとVRグラス「カセット」でVR動画の視聴

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1. NHK VR

NHK VR

2016年2月に開設された「NHK VR」では、NHKによるVR報道コンテンツが無料で公開されています。

日本代表の勝利に沸く渋谷の風景を収めただけのものから、ホームレスの1日に密着する6分程度のドキュメンタリーのようなものまであり、コンテンツが非常に充実しています。

Shibuya
NHK VR:W杯 初戦勝利に沸いた渋谷360°

普段の渋谷とは全く違う雰囲気、街全体を覆う熱狂が、映像から伝わってきます。

bigissue
NHK VR:「ビッグイシュー」販売男性と過ごした一日

一方で、このようなイメージが湧きやすい映像の場合は、特別VRの必要性も感じず、効果があるようには思いません。

VRは、非日常感のある空間を伝えるのに適しているように感じました。

これらのコンテンツは、スマートフォン、PCから閲覧が可能で、スマホからであればVRゴーグル(グラス)を用いての再生もできるようになっています。

2. 朝日新聞「NewsVR」

NewsVR

朝日新聞社が提供する「NewsVR」も、同様にVR報道コンテンツを配信しています。

こちらはNHK VRに比べるとコンテンツは少なめで、更新のペースもやや遅い印象です。
ただ、珍しくハイエンド機(PS VR)での再生に対応しており、VR報道への力の入れようが見て取れます。また、動画だけでなく静止画も提供されているお点も興味深いです。今後のコンテンツ拡充に期待したいところです。

NewsVR

なお、こちらもPC及びスマートフォンからの再生が可能で、スマホのブラウザからであればVRモードで見ることもできます。専用アプリは筆者の環境では動作しなかったのですが、特別インストールする必要もないように思います。

3. ロイター:地中海を命がけで渡る移民を救助

こちらは、アフリカ難民の動画です。

地中海で移民や難民の救助に取り組んでいるマルタのNGO「MOAS」が、ゴムボートでヨーロッパを目指す難民たちを救助する様子を、360度カメラに収めたものとなっています。

だだっ広い海にぽつんと浮かぶゴムボートをVRで見ると、得も言われぬ恐怖感で胸が締め付けられました。360度に広がる視界を通して、本当に命がけでの移動を強いられている難民たちの過酷な現状を、少しではありますが理解できたように感じます。衝撃的な映像です。

国際移民機関(IOM)によると、2017年で32000人を超える難民がこのように海を渡ってヨーロッパに上陸。650人以上が亡くなったり、行方不明になったりしているそうです。

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4. ニューヨーク・タイムズ:The Fight for Falluja

ニューヨーク・タイムズの記者が、イラクの街ファルージャをISISから奪還すべく戦う兵士たちに密着した360度動画です。11分を超える本格的なドキュメンタリーとなっています。

頭上を弾丸がかすめて緊張が走る戦場の空気、荒れ果てたファルージャの埃っぽさが伝わってきます。

ファルージャの奪還後、ISISの捕虜が収容されていた狭い檻に入るシーンでは、どれだけ酷い環境に人が閉じ込められていたのかということが、360度動画を通して効果的に伝えられています。

臨場感を味わっていただくため、ぜひVRでご覧頂きたい映像です。

5. ニューヨーク・タイムズ:The Atomic Bombing of Hiroshima/

人類史上初、都市に対して行われた核攻撃である広島への原爆投下を、360度動画で解説しているのがこのビデオです。
これまでに紹介した360度カメラを使った映像ドキュメンタリーとは違って、CGを用いているのが特徴です。

Google Earthを用いてシミュレーションしており、原爆がどの地点に投下され、どこまでの範囲を破壊したのかを、視覚的に簡単に理解することができるようになっています。

なお、ニューヨーク・タイムズは他のメディアと比べ特にVR報道に力を入れており、The Daily 360と銘打って毎日360度動画をアップロードしています。この動画はそのうちの一つです。

今後もますます増えていくコンテンツが楽しみですね。

6. まとめ

これらの例を通して、意外にも報道とVRの相性がとても良いということをおわかり頂けたでしょうか。特に、非日常的な光景、イメージの持ちづらい空間を伝えるのに、VRは非常に適しているように思います。

普段のニュースでは当事者意識を持ちづらい、紛争や難民といったテーマに関して理解を深めるきっかけになるVRは、今後の報道分野においても大きな可能性を秘めていると感じました。

今後もVRの普及が進むにつれて、より興味を持ちやすくわかりやすい報道コンテンツが増えていくことでしょう。

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