VRと空間データ活用のヒントが見つかる

地方観光プロモーションにおけるVR活用 ー 美唄市のスマホアプリ

写真:東明公園の日本最北端のソメイヨシノ (「全国観るナビ」HPより)

観光業界においても、新技術として注目されるVR。以前の記事(観光業界におけるVRの活用例 〜旅行代理店編〜)で旅行代理店のプロモーションにおけるVR活用例を紹介しましたが、今回の記事では北海道美唄市を例に、地方自治体の観光プロモーションにおけるVR活用について紹介したいと思います。


※スペースリーのリゾートホテル下見用のVRサンプル。VR内に画像・動画・リンクの埋め込みも可能です。

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美唄市はどんなところ?

北海道の中西部に位置する美唄市は、雄大な自然に恵まれ、焼き鳥などのグルメでも有名な観光資源の多い自治体です。温泉ゴルフといったレジャー施設も充実しており、国内外から観光客が訪れます。新千歳空港や札幌からも程近く、アクセスの良さも人気の理由の一つと言えるでしょう。

 

2015年にVRコンテンツを楽しめるスマートフォンアプリを配信開始

そんな美唄市は2015年、観光プロモーションのために、VRで美唄市の観光コンテンツが楽しめるスマートフォンアプリを開発し、配信を始めました。
このスマホアプリは公式ウェブサイトからダウンロードでき、iOS版もアンドロイド板もあります。
市内の観光名所や旅行施設などの映像が収録されており、代理店編で紹介したような
VRによる観光地の「下見体験」ができるアプリで、美しい自然の風景や温泉、さらには焼き鳥屋の店内の様子などをVR体験することができます。
筆者も実際にアプリを体験してみましたが、数あるコンテンツの中でも
宮島沼から多くの渡り鳥が飛び立っていく様子を撮影した動画に感動しました。北海道の大自然で、しかも渡り鳥の風景というのはいつでも見られるものではありません。VRコンテンツにしたことで、通常の写真だけでは伝わりづらい躍動感や迫力といった部分も、より本物に近い感覚で体験できるようになっています。

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画像: アプリのスクリーンショット
美唄市のように、VRコンテンツをアプリ形式で配信する自治体もあれば、ウェブコンテンツとして配信する例もあります。
それぞれメリット・デメリットとしてはどのようなものがあるのか見ていきたいと思います。

継続的なアップデートができる

アプリのメリットとしてはアップデートによってコンテンツを追加したり使い勝手を良くしたりとより充実した内容にしていくことができることです。

例えば、このアプリは、昨年のアップデートで、体験できるコンテンツの数を5から15に増やしたほか、多言語対応をしました。日本語の他に英語はもちろん中国語韓国語タイ語でアプリを利用することができるようになりました。
タイ語対応に関しては、タイから美唄市への旅行客数が
前年比1100%のペースで急速に増加していたことをうけて実施したそうです。

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オフラインでもVRコンテンツが体験できる

アプリでVRコンテンツを配信するもうひとつのメリットが、コンテンツをダウンロードしておくことで、オフラインでもVRコンテンツを体験できるようになることです。
この美唄市のアプリは、美唄市の職員の方々が展示会などで観光PRを行う際にも活用されたそうです。
ダウンロードしておけば、オンラインの接続環境に左右されることなく安定して使用できるというのは、プレゼン用のツールとして便利といえるでしょう。
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写真:マドリードでの見本市(ESJAPON.comより)

アプリのダウンロードが面倒という風潮も

一方で、アプリ形式でVRコンテンツを配信することのデメリットとしては、一般ユーザーにとっては、アプリをダウンロードするのが面倒というのがあります。スマホアプリで溢れかえっているような世の中で、一般消費者にアプリをダウンロードしてもらうことは簡単なことではありません。
ちょっと興味を持ったコンテンツでも、ウェブブラウザでささっと見れるのなら見てくれる場合でも、アプリをわざわざダウンロードする必要があるのならば見てもらえないというケースもあるのではないでしょうか。
筆者の周りでも、スマホが重くなって使い勝手が悪くなるのを避けるために、不要なアプリは削除する人が多いです。コンテンツを閲覧するためにアプリをインストールし、その後アンインストールをするという作業を考えると、確かに面倒ではありますよね。

 

まとめ

単発のコンテンツで、アップデートもないのにアプリ形式で配信されるものがある中で、コンテンツの追加や、多言語対応を行うなど、継続的な取り組みを行っているという点においては、美唄市のVRコンテンツアプリは良い事例と言えるのではないでしょうか。また、一旦アプリ内でコンテンツをダウンロードすればオフラインでも安定して視聴できるという点もアプリの良さを活用していると言えるでしょう。
一方で、コンテンツを見るためにアプリをダウンロードさせるのが面倒に感じる人も多いことを考慮すると、アプリだけでなく、ウェブブラウザでもコンテンツを見れるようにすると、より多くの人に見て頂けるようになるのではないでしょうか。
もちろん、いちばん大事なのは、面白い、ワクワクするようなコンテンツを発信し続けることなので、今後のアップデートにも期待したいところですね。

[参考記事]

PANORA VR » 北海道美唄市の観光客増加に貢献したスマホアプリ「VR観光体験」がアップデート 多言語対応など

美唄市の魅力をVRで体験 スマホ用観光アプリをバージョンアップ | 北海道リアルエコノミー | 地域経済ニュースサイト

参考リンク:
VRの活用例や活用方法についての記事一覧
VRのさまざまな活用例や活用方法について興味がある方はこちら

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